朝、鈍い日が照ってて
風がある。
千の天使が
バスケットボールする。
私は目をつむる、
かなしい酔いだ。
もう不用になったストーヴが
白っぽく銹びている。
朝、鈍い日が照ってて
風がある。
千の天使が
バスケットボールする。
「宿酔」は『山羊の歌』に収録されているが、制作の時期ははっきりしない。
「朝、鈍い日が照ってて
風がある。
千の天使が
バスケットボールする。」
この詩は3連から成る短い詩だが、1連目と3連目の4行は同じである。「千の天使が/バスケットボールする。」という2行がこの詩の中心であろう。
詩人は二日酔いの朝目をつむる。そこで「千の天使」が現われる。耳鳴りがして、それがバスケットボールの音と重なる。
二日酔いの朝の感想だ。
中也の球技を扱った詩は、野球を扱った「夏の夜に覚めてみた夢」がある。
「その日昼みた野球のナインの
ユニホームばかりほのかに白くーー」
ご感想
ユキタツさん 2024/09/08 12:50:53
夜勤明けに聴くと、確かに鈍い日が照ってるなぁと素朴な感じがして、いい感じです。
どらさん 2022/07/26 3:14:56
昔読んだ漫画に出てきた詩です。 二日酔いの朝の頭痛をこんなに素敵に表現出来るのか!と、当時まだお酒も呑めぬ中学生の私はいつか味わうかもしれない二日酔いに思いをはせたのでした。 哀しい酔いも天使のバスケットボールに救われる気持ちになれたのではないでしょうか。
匿名さん 2022/01/13 20:05:57
OMosirokakkta(°▽°)
ラッピングボーイさん 2020/03/27 19:21:51
「千の天使がバスケットボールする」という部分にとても感銘しました。 バスケットボールをするときの靴の音鳴りや跳ねるボールの音、ゆれるゴールネットの音が淡く響くようなものを感じました。
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