汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さえ吹きすぎる
汚れっちまった悲しみは
たとえば狐の革裘
汚れっちまった悲しみは
小雪のかかってちぢこまる
汚れっちまった悲しみは
なにのぞむなくねがうなく
汚れっちまった悲しみは
倦怠のうちに死を夢む
汚れっちまった悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れっちまった悲しみに
なすところもなく日は暮れる……
「汚れっちまった悲しみに……」は1930年4月『白痴群』第6号に発表された。『白痴群』は6号をもって廃刊。5月、「スルヤ」第5回発表会で「帰郷」「失せし希望」(内海誓一郎作曲)「老いたる者をして」(諸井三郎作曲)が歌われる。
「汚れっちまった悲しみに……」は4行4連の変型ソネットで、1連毎に「汚れっちまった悲しみに」と「汚れっちまった悲しみは」が2度ずつ現われる。つまりこの詩は「汚れっちまった悲しみ」のリフレインによって成り立っている。
「今日も小雪の降りかかる」「小雪のかかつてちぢこまる」と冬の季節を表わしているが、悲しみが汚れてしまったという表現が白い雪の映像とうまく重なる。
「汚れっちまった悲しみ」というリフレインでこの詩は始まり、この詩は終わるのである。
ご感想
iさん 2024/09/09 6:56:02
数学の基となる自然数(数の言葉ヒフミヨ(1234))を大和言葉の【ひ・ふ・み・よ・い・む・な・や・こ・と】のカタチ(〇△🔲)の相互作用として・・・ 『 汚れつちまつた 悲しみに なすところもなく 日は暮れる・・・ 』 by nakahara cyuya 『 虚空の虚心であれ !』 に送る。
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