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ミュージカル「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」

キューティー・ブロンド」がソロリティー・ハウス(女子学生社交寮)のスキット・パーティー向きのミュージカルとすれば、「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」はフラタニティー・ハウス(男子学生社交寮)のイニシエイション(通過儀礼)に向いている。チャーリー・ブラウンの演技が気に入らなければ先輩の「やり直し!」の一言で新入生は最初の台詞から始めなければならない。そしてイニシエイションが無事終われば、先輩、後輩の区別なく全員がハッピーにフラタニティ―・ブラザーズとなる。

世界中で愛されるコミック、チャールズ・M.シュルツの原作「ピーナッツ」は等身大のキャラクターの日常生活にある楽しみと喜びを伝えて人々をまさにハッピーにしてくれる。チョットした警句や哲学の付け合わせも忘れない。小振りで気持ち良いミュージカルだ。(脚本・音楽・詞:クラーク・ゲスナー、訳詞・演出:小林香)

ミュージカル「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」
チャーリー・ブラウン(村井良大)

村井良大は思いを寄せる赤毛の女の子には声を掛けられない内気で凧揚げや野球にも不器用なチャーリーを素朴に演じ、好感が持てる。高垣彩陽のルーシーと田野優花のサリーは、小学生にありがちな口が達者で男の子より強い女の子。チャーリーたちを怒ったり説教したり小柄な体を精一杯伸ばして演ずるのが微笑ましい。古田一紀演ずる安全毛布が手放せないルーシーの弟ライナスの指しゃぶり、東山光明が挑んだ、ベートーベンを愛する天才音楽家シュローダーのオモチャのピアノの演奏も拍手ものだ。

ミュージカル「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」
スヌーピー(中川晃教)

圧巻は中山晃教が演じるチャーリー・ブラウンの飼っているビーグル犬スヌーピー。ヴァレンタインでは持ちきれないほど多数のカードを受け取る人気者の夢は、第一次大戦の撃墜王レッド・バロン。赤屋根の犬小屋から飛翔して大空で大活躍する。

「幸せは誰にでも、何にでもある。もし君が愛せば。」

ミュージカル「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」
チャーリー(村井良大)とスヌーピー(中川晃教)

キャストはたった6人、舞台装置も超簡潔。「きみは良い人、チャーリー・ブラウン」がフラタニティ―・ハウスを飛び出して世界各地を幸せにしてほしいものだ。(東京:シアタークリエ4月25日まで。福岡:キャナルシティ劇場4月29日、大阪:サンケイホールブリーゼ5月6日~7日、愛知:日本特殊陶業市民会館ビレッジホール5月9日~10日)


2017.4.19 掲載

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