文句なく楽しめるミュージカルを久しぶりに観た。2階席の1番前から観ていたのだが、笑い転げて1階に落ちないよう、何度も客席のひじ掛けを掴んだ。
アメリカのステレオタイプで「金髪はお馬鹿さん、黒髪はお利巧さん」といわれるが、「キューティ・ブロンド(かわいいブロンド娘)音楽・詞:ローレンス・オキーフ&ネル・ベンジャミン 脚本:ヘザー・ハック」の主役エル・ウッズ(神田沙也加)は、カルフォルニアにある大学の学生社交寮(ソロリティー・ハウス)「デルタ・ヌウ」の会長ピンクのファッションで身を固め、友人たちとお洒落に自由に暮らしている。
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デルタ・ヌウの会長。神田沙也加(エル・ウッド) |
ところがプロポーズしてくれると思っていた彼氏のワーナー(植原卓也)に突然フラレてしまう。ワーナーは名門出身で上院議員を目指している。そして自分の妻として頭の弱いブロンド娘は相応しくないと一方的に決めつけ、あろうことか同級生で黒髪の秀才ヴィヴィアン(新田恵海)と婚約、二人はハーバード大学のロースクールに行ってしまう。
さて、ギリシャ悲劇のコロス(コーラス)よろしく、ソロリティ―・ハウスの姉妹たちがエルの「心の声」としてあらゆる機会に舞台に登場する。この様子が正にソロリティ―のスキット・パーティそのもので賑やかだ。
彼氏を追って一念発起して猛勉強するエルを寮姉妹たちが支える。ハーバード大学ロースクールの入学面接で、審査官がエルの応募書類には小論文が添えられていない、というや姉妹たちはマーチング・バンド(鼓笛隊)として現れ、エルは「これが私の小論文です」と胸を張る。
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姉妹たちのマーチング・バンドがエルの小論文 |
さて、ロースクールではインターン生として難しい弁護を担当することに。アリバイを明らかにしたくない社交学生寮の先輩であるクライアントの秘密を守りながら裁判に勝つ。
ところがキャラハン教授(長谷川初範)は実はエルをお馬鹿なブロンド扱いしてセクハラ、嫌なら学校をやめろという。そこへヴィヴィアンと共に姉妹たちが応援に駆け付ける。
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エルは先輩弁護士エメット(佐藤隆紀/右端)の指導を受けて ブルック(木村花代/右から2番目)の無罪を勝ち取る。 |
相棒のエメット(佐藤隆紀)、アイルランド人と結婚したがるヘア・ネイリストのポーレット(樹里咲穂)、キャラハン教授以外はいかにも楽しそうに舞台で楽しんでいる。エルの愛犬チワワの愛くるしさも特記に値する。青春時代に帰り、学生寮でのスキット(寸劇)パーティに参加しているような気分になれること請け合い。(3月23日/日生劇場)
2017.3.31 掲載
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