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ミュージカル「天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~」

シアター通よりシアター好き

渡辺晴子
著者プロフィールバックナンバー

ミュージカル「天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~」のデロリス・ヴァン・カルティエ役は、定番主演森公美子にダブルキャストとして元宝塚トップスターの朝夏まなとが出現した。
ウーピー・ゴールドバーグを黒人女性歌手から世界的歌手兼コメディアンにのし上げた映画が原作だが、既に三作になる日本語版も、朝夏が加わると鋳造したてのコインのようにピカピカに輝く。


ストーリー

シアターオーブの広大な舞台に組み立てられた荘厳なフィラデルフィアのクイーン・オブ・エンジェルス教会修道院。殺人を目撃し恋人のギャングとその手下たちに追われたクラブ歌手のデロリスは、高校時代の同級生、警官汗かきエディー(石井一孝)の配慮で沈黙瞑想を守るシスターたちの中にかくまわれる。修道院長(鳳蘭)は反対するが、資金難で買収の危機に瀕している修道院には警察の寄付が必要だ、とオハラ神父(小野武彦)が説得する。

ミュージカル「天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~」
警察に駆け込んだデロリス(朝夏まなと)と汗かきエディー(石井一孝)

沈黙と瞑想で生きる修道院の中で、デロリスに唯一自由が許されたのは聖歌隊への参加。院長の「言葉に出来ません」との表現を、それほど上手なのかと誤解したデロリスが発見したのは音痴でやる気のない集団。

さあ 声を出して!
 天国まで 届くように 思い切り!
 恥ずかしがらずに 感じたまま
 もっと どでかく 声出せ!(さあ、声を出せ!)

“ハレルヤ”も“グローリア”も明るく踊りながらコーラスを指揮するデロリスの特訓によって、聖歌隊はロック・ゴスペラー・グループに変身。舞台狭しと聖歌隊を動かす朝夏まなとの面目躍如たる指揮ぶりに流石、もと宝塚のトップスター、と納得がゆく。

院長は懸命に昔に戻そうとするが、数人の参集者しかいなかった礼拝堂に歌声を聴いた街の人々の数が週ごとに増えてくるのが圧力となってくる。

更に、「サタデー・ナイト・フィーバー」のトラボルタ好きの神父はロック聖歌を歓迎し、メディアも注目。修道女たちも感化され、修道院長が「聖書を!」と声を掛けたら渡されたのは芸能誌の「バラエティー」という始末。遂に院長は謹厳な僧院の中で傍若無人に振る舞うデロリスを消して欲しいと神に祈る次第となる。

ミュージカル「天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~」
オハラ神父(小野武彦)は修道院の秩序を守ろうとする院長(鳳蘭)とデロリス(朝夏まなと)に向き合う。

ところが物件を買収に来た業者も新しい修道院の姿に感激し、買収資金を献金として寄付。修道院改築のための一般募金も鰻登りに増えて満額に達する。しかし、PRが利きすぎてラジオ放送でデロリスの在りかを突き止めたギャングたちが、公判前に証人のデロリスを殺そうと女装して修道院に侵入してくる。

デロリスをかばう僧服のシスターたちの立ち回りの素早い連携も見どころの一つ。勇ましい女優陣に対して、男優陣はチャライ無法者たちを見事に好演。

殺人事件の証人として法廷に立つため修道院を出た彼女のベッドに残っていたのは一冊の聖書。改めてデロリスを想う修道院長の姿に後輩タカラジェンヌ朝香まなとを思いやる先輩鳳蘭の佇まいが重なるようでジンとくる。

ロック讃美歌の成功はバチカンまで聞こえ、法王パウロ6世が来訪。迎える聖歌隊の中心にショー・ビジネスでの成功より人間の絆を大切に思うデロリスの歌声があった。

ミュージカル「天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~」
デロリスの指揮で歌う聖歌隊

さて、最後のカーテンコールは、デロリス朝夏まなとの指揮で出演者全員とペンライトを振る観客の大ダンス・パーティー! この盛り上がりで忙しい年末を元気で乗り切ろう!(東京:東急シアターオーブ11月15日~12月8日 その後全国ツアー公演)
※全写真提供/東宝演劇部

2019.11.24 掲載

著者プロフィール
渡辺 晴子(わたなべ はるこ) : HKW、シカゴ・サン・タイムズ、アジア新聞財団(東京支局長)を経て、現在HKW代表メディア・リポート特派員。30年来の(公益社団法人)日本外国特派員協会会員で、副会長、理事、監事、選挙管理委員長を歴任し、現在は永世会員。特別企画委員長としての同協会の取材活動、文化事業を主宰している。また上智大学講師、ユネスコ「女性とメディア」開発コンサルタントとして内外のジャーナリストを育成。
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