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渡辺晴子
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藤原紀香の舞台「サザエさん」

昭和21年から昭和49年まで28年間、新聞連載漫画でありその後は50年間テレビ放送された長谷川町子の「サザエさん」は、戦後の復興から高度経済成長まで庶民の目で描くまさに国民的アニメである。舞台「サザエさん」(脚本・演出 田村孝裕)は、50年の節目に10年後のサザエさん一家を描いている。

藤原紀香の舞台「サザエさん」
[舞台「サザエさん」より]
サザエさん(藤原紀香)

そこでは磯野家大黒柱の波平(松平健)は定年退職して悠々自適の生活を送り、大学生になったカツオ(荒牧慶彦)は学業よりバイト三昧。服飾専門学校生のワカメ(秋元真夏、斎藤京子 Wキャスト)は課題に取り組み、パリ留学を目指している。

マスオ(葛山信吾)も部長に昇進してから帰宅が遅くなり、タラオ(大平峻也)は高校受験最中。波平の誕生日を祝って、家族揃って夕食を囲もうと願うフネ(高橋惠子)とサザエの手配は報われず。波平は気を悪くして折から配達に立ち寄った馴染みの酒屋と飲みに行ってしまう。

波平は自宅を売却するのか、マスオとサザエは独立して別居するのか? 10年経つうちに時代が変わり環境の変化があり、家族の一人一人が自立する中どうやって三世代同居の仲睦ましい家族を保てるのだろうか?

藤原紀香の舞台「サザエさん」
[舞台「サザエさん」より]
磯野波平(松平健)、サザエさん(藤原紀香)と磯野家の家族。左端は飼い猫のタマ

藤原紀香はお馴染の髪型で明るくハツラツでオッチョコチョイのサザエさんを地のように演じる。神戸女子親和高校時代は落語研究会で「親和亭かつお」と名乗っていたそうで、夫の歌舞伎役者片岡愛之助にサザエ役に決まったことを告げると「おっ、そのままやん」と言われたという。暴れん坊将軍のイメージが強い松平健だが、飄々と過ごしながらも肝心の場面ではキッパリ決断する姿が頼もしい。白い割烹着姿の高橋惠子は、昭和の古き良き時代の専業主婦を再現して懐かしく、白い飼い猫のタマ(酒井敏也)は家族の一員として存在感を示す。

藤原紀香の舞台「サザエさん」
[舞台「サザエさん」より]
波平(松平健)、タマ(酒井敏也)、サザエさん(藤原紀香)

明治座公演の後は長谷川町子さんの縁で福岡市博多座に移る。(明治座 9月3日~17日、博多座 9月28日~10月13日)

2019.10.1 掲載

著者プロフィール
渡辺 晴子(わたなべ はるこ) : HKW、シカゴ・サン・タイムズ、アジア新聞財団(東京支局長)を経て、現在HKW代表メディア・リポート特派員。30年来の(公益社団法人)日本外国特派員協会会員で、副会長、理事、監事、選挙管理委員長を歴任し、現在は永世会員。特別企画委員長としての同協会の取材活動、文化事業を主宰している。また上智大学講師、ユネスコ「女性とメディア」開発コンサルタントとして内外のジャーナリストを育成。
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