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ミュージカル「スクルージ~クリスマス・キャロル~」

シアター通よりシアター好き

渡辺晴子
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「スクルージ」は、「二都物語」「デイヴィッド・コパフィールド」などで知られる英国の文豪チャールズ・ディケンズの小説「クリスマス・キャロル」を原作にレスリー・ブリカッスがミュジカル化したもので、世界各地でクリスマス・シーズンの定番とされ、日本では主役スクルージが市村正親の当たり役となっている。


ストーリー

19世紀半ばのロンドンでは、産業の発展により民衆の経済格差はいよいよ広がっている。
年寄りで吝嗇な金貸しスクルージはクリスマス・イヴというのに帳簿つけに執心し、挨拶に来た甥(田代万里生)にも不愛想。事務員のクラチット(武田真治)に午後に一日のクリスマス休暇を出すのも渋る始末だ。さて、町に出たスクルージはクリスマスというのに町の人々からの借金の取り立てに精を出し、慈善活動の募金者を冷たくあしらう。人々に嫌われたスクルージは、いよいよ人間嫌いでクリスマス嫌いの偏屈になる。

さて、夜になると元共同経営者で7年前に亡くなったマーレイ(安崎求)の亡霊が鎖に縛られて現れ、スクルージに忠告する。「欲深い生活を送っていると自分のように彷徨う。深夜1時、2時、3時に現れる精霊の忠告に従うように」といわれ、スクルージは過去、現在、未来の精霊の導きにより自分の人生を辿る。

ミュージカル「スクルージ~クリスマス・キャロル~」
スクルージ(市村正親)

旅から帰ったスクルージは新しい人生に目覚め、甥には元妻イザベル(実咲凛音)の形見の指輪を贈り、クラチット家族には大きなガチョウと子どもたちへのプレゼントを、人々の借金は棒引き、慈善団体には多額の寄付の約束、町中でもっともクリスマスを愛する男となる。

ミュージカル「スクルージ~クリスマス・キャロル~」
スクルージ(左/市村正親)、ボブ・クラチット(中/武田真治)、クラチット夫人(右/愛原実花)

初期のディケンズらしい単純明快なクリスマス賛歌で、武田と田代の若者振りも頼もしい。
子どもたちの歌と演技は、この作品を更に家族で楽しめるものにしている。御大市村正親の宙吊り飛行には、満場の拍手喝采だ。(日生劇場 2019年12月8日~12月25日)

ミュージカル「スクルージ~クリスマス・キャロル~」
スクルージ(市村正親)のフライング

2019.12.31 掲載

著者プロフィール
渡辺 晴子(わたなべ はるこ) : HKW、シカゴ・サン・タイムズ、アジア新聞財団(東京支局長)を経て、現在HKW代表メディア・リポート特派員。30年来の(公益社団法人)日本外国特派員協会会員で、副会長、理事、監事、選挙管理委員長を歴任し、現在は永世会員。特別企画委員長としての同協会の取材活動、文化事業を主宰している。また上智大学講師、ユネスコ「女性とメディア」開発コンサルタントとして内外のジャーナリストを育成。
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