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渡辺晴子
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劇団四季「カモメに飛ぶことを教えた猫」

ドイツ港町ハンブルグに住む黒猫ゾルバ(厂原時也)は、夏の或る日ヘドロまみれの網にかかった瀕死のカモメに出会う。「私の卵を食べないで、ひなが生まれたら、育てて飛び方を教えて」、と訴えられてしまう。乱暴者だが心根は優しいゾルバは、猫としてのすべてをかけて叶えると誓う。

街の厄介者ネズミたちの邪魔を乗り越え苦労して温めた卵から生まれたヒナは、ゾルバを見るなり「ママ」と呼びかける。マッチョを誇るゾルバが母親と間違えられて狼狽える姿に観客の子どもたちの笑いが巻き起こる。フォルトゥナータ「幸せな者」(横田栞乃)という名前をつけられたヒナは、自分を猫だと思い込み猫たちの後を追い飛ぼうとはしない。

劇団四季「カモメに飛ぶことを教えた猫」
[劇団四季「カモメに飛ぶことを教えた猫」より]

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季節が移り、ゾルバは港で南に移動するカモメたちの群れに出会う。リーダーは早く移動しないと極寒のハンブルグでは凍死してしまうという。フォルトゥナータの特訓が始まる。博学の学者猫博士(青木朗)や昔船乗りをしていて町中のネコたちの信頼を集める大佐(荒木勝)、幼馴染の優しい白猫ブブリーナ(辻茜)の協力を得て大きな風船を羽に付けたり工夫して飛び方を教えるが、子どもたちが笑い転げるドタバタ騒ぎに終わってしまう。

酔っ払いのチンパンジー、マチアス(町田兼一)は元曲芸飛行のパイロットで飛び方を知っていると聞かされ会いに行くが、「しっぽを差し出せ」という交換条件を突き付けられる。シッポは猫の全て、シッポがなければ猫の社会で生きてゆけない。ゾルバは可愛いフォルトゥナータのために決断する…。

遂にカモメとしての自覚をもって港の尖塔から飛び出し飛行するフォルトゥナータ! 会場が拍手で包まれる。子どもたちの他、スポンサーとして来場していた大人たちからも大拍手!! フィナーレを終えて出口まで駆け出しハイタッチを交わす出演者と順序良く退場する子どもたちの顔が輝いていた。

北は利尻島、南は石垣島まで72都市、劇団四季の「こころの劇場」は動員観客見込み32万人、70を超える自治体、支援・協賛企業を得て日本中を巡業中だ。

観客良し、俳優良し、サポーター良し、劇団四季の「こころの劇場」は演劇活動の基本のキだ。(7月3日、新宿区立新宿文化センター大ホール)

劇団四季「カモメに飛ぶことを教えた猫」
ハンブルグの港町の猫たち

2019.7.23 掲載

著者プロフィール
渡辺 晴子(わたなべ はるこ) : シカゴ・サン・タイムズ、アジア新聞財団(東京支局長)を経て、現在HKW代表 メディア・リポート特派員。30年来の(社)日本外国特派員協会会員で、選挙管理委員長、文化企画委員長、副会長、監事などを歴任し、現在は永世会員、特別企画委員長。同協会の講演、文化事業などを企画している。また1972年HKWビデオ・ワークショップ(HKW)創立。国際婦人年であった1975年、市川房枝さん、高田ユリさんなど10人の女性先駆者のビデオ・インタビュー“Women Pioneers”を三カ国語(日・英・中)で制作、世界初のビデオによる女性史として1980年「国連・ユネスコ主催 女性とメディア会議」で発表。1980年―1992年ユネスコ「女性とメディア」開発コンサルタントとして、アジア・アフリカの女性放送者にビデオ・テレビ制作等を指導。
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