日本では広く「若草物語」として知られる少女小説の世界的古典ルイーザ・メイ・オルコット作「Little Women」はハリウッドでも何度も映画化されているが、今回はブロードウエイ・ミュージカルとして東京に進出。
牧師として南北戦争に従軍する理想家の父をもち、その留守に米国東部マサチューセッツ州のコンコードで母と暮らす四姉妹、メグ、ジョー、ベス、エイミーの生き生きとした姿が時代を超えて観客の共感を呼ぶ。
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[ミュージカル「Little Women -若草物語-」より] ジョー・朝夏まなと |
主人公で小説家を目指す、背高のっぽの次女ジョーを演じるのは宝塚の元宙組のトップを務めた朝夏まなと。女性が結婚して家庭に入るのが当たり前だった時代に経済観念に疎い父親に代わって一家を支えようと奮闘する。そんな強靭で美しい彼女に恋するのは隣家の資産家ローレンス氏の孫息子ローリー(ジャニーズJr.の林翔太)。名実ともに背伸びしてキスする姿が可愛い。
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[ミュージカル「Little Women -若草物語-」より] ローレンス・村井國夫とベス・井上小百合 |
元宝塚月組主演娘役の彩乃かなみは長女メグ。長女でありながら次女ジョーの統率力を信頼している。三女のベスは乃木坂46の井上小百合、四女のエイミーはフェアリーズの下村実生。よくこれだけの個性の異なる姉妹を揃えたものだと感心する。観客はそれぞれ自分がこの四人の誰に一番似通っているのか、そうだとしたらあとの3人にあたる友達は誰と誰か―本当の姉妹でなくても、関係性が「姉妹」的な人たち―について思いをはせるはずだ。
その他の配役、四姉妹の母 香寿たつき、マーチおばさん 久野綾希子、ローレンス 村井國夫、ジョン・ブルック 川久保拓司が、この物語を現実味のある、男性の観客をもひきつける大人の芝居にしている。(9月17日 シアタークリエ)
2019.10.29 掲載
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