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ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」

1960年から1970年、The Four Seasons は“Sherry”、 “Walk Like a Man”、“Big Girls Don't Cry”が続いて全米チャートNo.1となるなどアメリカのポピュラー音楽界を席巻した。2004年にはミュージカルとなり、2005年ブロードウエイでは2017年終幕まで12年間に4,642回上演され、その日本版が2016年に公開された。

リーダーのFrankie Valli を4オクターブの声域と天使の歌声を持つ中川晃教が演じたのが、日本における大ヒットの要因であろう。因みにチケットは完売で主演の中川晃教と演出の藤田俊太郎は2016年第24回読売演劇大賞、2017年第42回菊田一夫演劇賞も受けている。

ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」
[ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」より]


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既存のヒット曲を組み合わせたところはABBAの“マンマ・ミーア”のジュークボックス・ミュージカルの構成に似ているが、Frankieを取り囲む善悪を超えたリアルな若者たちの生き方をダイナミックで繊細に見せるところが一味深い。

“Jersey Boys”はTeam WhiteとTeam Blueの2チームで演じられたが、筆者はTeam Blueのみ観劇。フィナーレではかつてリアルタイムで熱狂した留学時代を思い出し、“Sherry”、“Big Girls Don't Cry”で舞台と一体となって客席でペン・ライトを振り、Twistのステップを踏んだ。The Four Seasonsのフランキー・ヴァリの天を突き抜けるような歌声とそれを包むグループのハーモニーはまさに青春の応援歌だった。


ストーリー

軍隊に入る、マフィアに入る、スターになる、それ以外に抜け出す道はないといわれるニュージャージーの貧しいイタリア移民の住む町。チンピラの犯罪者として回転ドアのように刑務所を出たり入ったりするトミー・デヴィ―ト(伊礼彼方)は、ミュージシャンとしての成功を夢見てニック・マッシ(spi)とバンドを組んでいる。床屋のフランキー・ヴァリ(中川晃教)の歌声にユニークな音楽性を見出し、弟分としてバンドの一員に加えるが、音楽活動は壁に当たるばかり。そこへ基礎的音楽の素養があり、作曲の才能もあるボブ・ゴーディオ(矢崎広)がフランキーの天性のヴォーカルに惚れこみ、彼のために曲を書きたいと加わってくる。

遂にレコード会社のプロデューサーに売り込んだものの、レコード制作費や交際費などでトミーはマフィアから借金を重ねる。トミーのマナーが支離滅裂でその上グループが税金支払い用に設けた口座の貯金まで使い込んでいるのを知ったグループは遂に分裂する。

しかしフランキーはトミーがバンドの創立者であり、彼に見いだされなかったら未だに床屋でいたと恩を感じ、トミーの莫大な借金を肩代わりすると宣言する。トミーはマフィアの監視が厳しいラスベガスに追放される。

フランキーは借金を返すために巡業に出、ボブの曲を生かしてソロシンガーとして独自の音楽活動を続けるが、その間に妻はアルコール依存症、娘は事故で家庭は崩壊。

久しく分裂していたメンバーは、The Four Seasonがファン投票によるロックミュージックの殿堂入りを果たした機会に再び集結、そこで大フィナーレ!(東京 2018年9月10日 シアタークリエ)

ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」
The Four Seasons。 左より、トミー・デヴィ―ト(伊礼彼方)、
ニック・マッシ(spi)、フランキー・ヴァリ(中川晃教)、ボブ・ゴーディオ(矢崎広)。

2018.10.5 掲載

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