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劇団創立80周年「梅沢富美男劇団特別公演」

「下町の玉三郎」と呼ばれ大衆演劇界のトップでありながら、近年は辛口のコメンテーターとしてテレビでも活躍する梅沢富美男さん。今回劇団創立80周年梅沢富美男劇団明治座特別公演の舞台は圧巻であった。

第一部 お笑い!おかしなおかしな「男の花道」では、長崎出身蘭学眼科医である土生玄碩(研ナオコ)に持病の痔を治療してもらう貧乏旅役者の加賀屋豚右衛門。恩に報いるため玄碩の危機には命がけで助けると約束する。

その後、江戸一の名医となった玄碩は貧しい人たちのための療養所を作るためスポンサーの松平帯刀(梅沢武生)の宴席にでる。生真面目で余興の要求に応じない玄碩は切腹を迫られたが豚右衛門の約束を思い出す。

劇団創立80周年「梅沢富美男劇団特別公演」
[梅沢富美男劇団特別公演 第一部 芝居 幕二より]


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「舞台以外の宴席では絶対に踊らないという歌右衛門が本当に来るのか?」歌右衛門を待っていた松平は、現れた汚らしい豚右衛門を見て侮辱されたと更に憤り、舞台は修羅場となる。豚右衛門がそそくさと舞台から消えた後、早変わりで煌びやかに花道から登場するのが本物の歌右衛門(梅沢富美男の二役)。客席が拍手と喝采で涌きに沸く。

劇団創立80周年「梅沢富美男劇団特別公演」
恩人の土生玄硯(研ナオコ)に代わって舞う加賀屋歌右衛門(梅沢富美男)

第二部は歌謡ショー。梅沢富美男が1982年紅白歌合戦にでた「夢芝居」と研ナオコの歌を中心に研ナオコの娘ひとみなど新人たちも加えて。

第三部はお待ちかね舞踊ショー。「夢芝居」、「さざんかの宿」、「おさん茂兵衛」など。首筋を背中までギリギリにぬいたセクシーな富美男の流し目が左右に届くごとに行き先の女性観客の悲鳴が上がる。これぞ大衆演劇のだいご味である。

「舞台が遠くておひねりが投げられなかった」
帰路エスカレーターで女性グループがボヤいていたが、地方公演から東京のメジャーに出世した劇団に対するごひいき筋の誇らしい不満であろう。(明治座:8月31日~9月25日)

劇団創立80周年「梅沢富美男劇団特別公演」
梅沢富美男

2018.9.25 掲載

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