第一部「紺屋と高尾」
思わず「寛美そっくり!」と声を掛けたくなる五木ひろしの微妙な間の取り方。明治座に松竹新喜劇が引っ越してきたような懐かしい舞台だ。
「紺屋と高尾」(補綴・演出 浅香哲哉)は藤山寛美が手掛けた「松竹新喜劇」十八番の一つ。大坂の紺屋の職人久蔵(五木ひろし)は兄弟子とともに観音講で大坂から江戸へやって来て吉原見物に出かける。花魁道中で見た大名や大商人相手の高級遊女「高尾太夫」(坂本冬美)に一目ぼれ。惚れた病が高じて食欲もなく寝付く騒ぎ。
金さえあれば会えると親方に教えられた久蔵は一年間必死で働いて金をため、大坂の米問屋を装って高尾太夫に会いに来たが大尽と思えない振る舞い。太夫に次回の約束を訊ねられてついに正直に事情を話す。このギコチナイ話しぶりの滑稽さがまたこれ寛美に瓜二つ。
久蔵の実直さに心をうたれた太夫は年季が明ければ女房になる、との起請文を渡す。
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花魁(坂本冬美)の長煙管に戸惑う久蔵(五木ひろし) |
冒頭花道に現れて坂本冬美の花魁姿が正に豪華絢爛。大向こうから声がかかる。吉原に上がった五木ひろしの久蔵が花魁からの長煙管にドキマキするタイミングも正に寛美そっくり。高田次郎、大津嶺子、藤山扇治郎ほか松竹新喜劇の面々に脇を固められた五木ひろし座長は「のんどり」と舞台を楽しんでいるようだ。
第二部「ビッグショー」
時代は江戸から平成へとがらりと代わり、タキシード姿の五木と五木との競演を記念して特注したというカクテルドレスを纏った坂本の歌謡ショー。
五木の「夜明けのブルース」、「恋歌酒場」、坂本の「夜桜お七」、「また君に恋してる」など馴染みのヒット曲に二人のデュエット、浪曲「一本刀土俵入り」「居酒屋~ニューバージョン~」他が続く。(2月26日・明治座)
2018.4.17 掲載
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