脚本、構成、演出、そして例によってタップダンサーと八面六臂のエンターテイナー玉野和紀が、元宝塚のトップ・スター紫吹淳をパートナーに若いダンサーを扱きあげたダンス・ショー。
Show House「GEM CLUB」第一幕では「テニスの王子様」や「レ・ミゼラブル」の子役でデビューして今や若者に成長した9名を総支配人玉野和紀が気持ちよさそうに扱き、オーナー紫吹淳は中年マダムの貫録で挑発している。「オーナー、お持ち帰りは困ります」。総支配人の言葉に客席の笑いが噴き出す。
「iPodなんか認めない。貧乏人はラジカセだ!」
年代物のラジカセからの音楽でストリート・ダンスが激しい若者。バスケット・ボールを弾ませながらの玉野ならではのタップ・ダンスには若者たちが加わる。
リッチになって「若いころ過ごしたボロ・アパートの前をBMWのハンドルを握ってゆっくり通り過ぎる」という玉野のコメントには、「それは総支配人のことでしょう」との野次が飛ぶ。
第二幕の幕開きはツルハシを担いで原石を掘り出す若者たち。総支配人がタイガー、オーナーがダイアモンド、途中から若者チームに加わる元宝塚娘役トップの愛加あゆがルビーと、すべて宝石・貴石の名前を役名としている。
ストリート・ダンスから激しく鋭いタンゴ! 舞台の片隅に現れた粋な紫のジャケットの紳士に客席から歓声が上がるが、実はこれは紫吹淳の男装。女性に戻っても、後援会サービスを忘れないところが宝塚出身らしい。
沖縄の蛇三線、乙姫のコマーシャル・パロディー、ピカチューのダンスもあれば、踊るポンポコリン、ソーラン節のタップ版も! 最早役者の体力勝負でこれでもか!と繰り出してくる。
中河内雅貴(ロードナイト)は6月―7月「ジャージー・ボーイズ」、矢田悠祐(フローライト)、高橋龍輝(スティブナイト)の二人は8月に「王家の紋章」とミュージカル出演が決まっている。原石にはもう一層の磨きがかかるのだろう。(東京/シアタークリエ:3月19日~4月1日、大阪/サンケイホールブリーゼ:4月8日~4月10日、名古屋/愛知県芸術劇場大ホール:4月11日)
2016.4.13 掲載
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