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劇団四季「アラジン」

アラビアン・ナイトでお馴染みの「アラジンと魔法のランプ」、Broadwayを盛り上げた作品を劇団四季は家族三代で楽しめるマジック・ミュージカルに染め上げた。

舞台装置と技術が素晴らしい。煙が湧き上がると求める相手の顔が現れたり、暗い洞窟も一瞬にして黄金色に輝く宝物蔵に変わる。客席の大人も子どももそのマジック毎に息を止めて舞台に引きこまれる。

なかでも秀逸トリックは魔法の絨毯!アラジンと王女ジャスミンを乗せて砂漠の王国アグラバーの空を縦横に飛び回り、客席は拍手喝采で歓迎するのだが、どうしっかり目を凝らして舞台を見据えても種も仕掛けもわからない。

今回の「アラジン」の公演にあたって劇団四季は大掛かりな劇団内外からのオーディションを行い、ロングランに備えてダブル・キャストを組んでいる。筆者は島村幸大と厂原時也のアラジンを見たのだが、台詞の最後の子音の発音までどちらにも甲乙付け難い模範生だ。演出の指示が明確なのだろう。

ところで今回、劇団四季の新しいおじさんタレントを発見した。このミュージカルの進行役を務め、客席を盛り上げるランプの魔人ジーニ—役の瀧山久志だ。小太りの身体を揺らしながらの軽妙なダンスのステップと、子どもでもわかるアドリブ風のジョークの連発に「本当に元オペラ歌手なの?」と茶々を入れたくなる。

劇団四季「アラジン」
豪華絢爛なアラビアンナイトの世界が広がる舞台
 

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祖父母世代には「アラビアン・ナイト」といえばハリウッド映画全盛時代のトニー・カーティスとパイパー・ローリーのコンビだが、王女ジャスミンの岡本瑞恵もパイパー・ローリー以来の勝気な女性を見せる。フィナーレのお臍を出してのベリー・ダンスがこれまた可愛い。

アラン・メンケン作曲とティム・ライス、ハワード・アッシュマン作詞による名曲の数々、ディズニー提携20周年をむかえる劇団四季にとって懐かしくも新しい“Whole New World”の始まりだ。

夏休みの親子、三世代観劇に是非お勧めしたい。(電通四季劇場[海]ロング・ラン公演中)


2015.7.6 掲載

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