コナン・ドイルの名作シャーロック・ホームズの盟友ワトソンを大胆にも女性にすり替えた韓国ミュージカル「シャーロック・ホームズ」が、続編でまたしても意表を突く設定を作り上げた。名探偵ホームズが助手のジェシー・ワトソンと共に同時代の未完の事件の謎に挑むのである。
Bloody Game (脚本/キム・ウンジョン 作詞/ノ・ウソン 演出/板垣恭一)は、売春婦の猟奇的な連続殺人事件でロンドンを騒がせた「切り裂きジャック」に同時代に活躍したホームズを対戦させるというまさに挑戦的な試み。
ロンドン警視庁は5人の売春婦の殺人犯の捜査をシャーロック・ホームズ(橋本さとし)に依頼するが、彼の仕掛けた罠は失敗、バーミンガム警察からは敏腕の警部クライブ・オーウェン(別所哲也)が派遣されてくる。
19世紀末、英国の社会格差はますます広がり、貴族や商人が富を手にして人々をいよいよ貶める。民衆は教会にはもう救いを求めないのか?
この続編では橋本さとしのホームズはリラックスしていて、一路真輝の助手ワトソンがキリリと場面を締めている。別所のクライブは結末で明かされるまで知的でありながらも、拭いきれない暗さを漂わせて名演技。
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橋本さとし(ホームズ)と一路真輝(ワトソン助手) |
秋元才加の盲目のシスター、マリア・クララは素直な演技で、エドガー(小西遼生と良知真次のWキャスト)が無心に慕う姿も好ましい。切り裂きジャックの無差別殺人で最後の救いを求める人々を教会はどこまで救えるのだろうか?
“血の紋章”、“この道の果て”、“生贄”など歌詞とメロディーは韓国ミュージカルらしく強烈。日本公演の後も海外公演が予定されている。
(4月26日〜5月10日:東京芸術劇場プレイハウス 5月16日〜5月17日:福岡キャナルシティ劇場 5月21日〜5月24日:兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール)
2015.5.25 掲載
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