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ミュージカル「Death Note」

歌舞伎、能、宝塚、コスプレ。クールジャパンのコンテンツはハード面が中心だった日本のソフト・パワーをいよいよ発展させているが、日本、アジア、米国の若者たちの間で延べ3000万部を売り上げ社会現象となった「週刊少年ジャンプ」連載の漫画「Death Note」(演出:栗山民也、音楽:フランク・ワイルドホーン)のミュージカル化の衝撃は強烈だ。

死神リューク(吉田鋼太郎)はDeath Noteに人名を記して40秒後に失命させるという仕事に退屈し切っている。たまたま彼が落としたNoteを拾った成績優秀な高校生の夜神月(やがみライト/浦井健治と柿澤勇人のWキャスト)はその効果に驚くが、法律だけでは社会秩序は貫けないとの若者らしい正義感から収監中の凶悪犯を葬る。次々と犯罪者が超法規的に命を落とすのを見た日本警察はインターポルに捜査を依頼するが、捜査官が日本に上陸するや彼も不慮の死を遂げる。

ミュージカル「Death Note」

タレントの弥海砂(あまねミサ/唯月ふうか)は両親を殺害した犯人を処刑してくれたと、まだ見ぬ月に憧れる。月の父、警察高官である夜神 総一郎(鹿賀丈志)はついに謎の天才L(エル/小池鉄平)に捜査を依頼するが、その結果は?

ミュージカル「Death Note」

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健全な高校生の浦井健治と屈折した異才・小池徹平のテニス・コートでの死闘は迫力満点で、客席を沸かせる。怖いもの見たさの客席が若いタレントのスピーディーな動きに共鳴して神経質に笑うのもこのミュージカルならではの特徴だろう。

ミュージカル「Death Note」

真っ黒な衣装で好物の真っ赤なリンゴをかじりながら退屈を訴える吉田鋼太郎のリュークは飄々とした愛嬌があり、青白い薄手の衣装をまとい如何にも死神らしい濱田めぐみのレムと対照的だ。ただ、冷徹なレムがミサの死に際して急にウエットな母性愛に目覚めるのが唐突で納得がいかない。

ミュージカル「Death Note」

「Death Note」、「正義はどこに」、「揺るがぬ真実」などフランク・ワイルドホーンの音楽は正に国境を超える普遍性がある。

日本原作に、ブロードウエイが音楽と脚色をコラボレイトしたDeath Noteには既に米国、英国、台湾などから引き合いがあり、ホリプロでは公演を企画しているという。101年の伝統を誇る宝塚と同格に若いプロダクションが早々に海外に進出するのは、正にクールジャパンの威力であろう。
(日生劇場4月6日より4月29日まで。大阪梅田芸術劇場5月15日より5月17日まで。名古屋愛知芸術劇場5月23日より5月24日まで)


2015.4.24 掲載

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