ボリショイ・バレエとボリショイ劇場管弦楽団の2014年の3週間にわたる日本公演「ドン・キホーテ」(原作:ミゲル・デ・セルバンテス 台本・原振付:マリウス・プティバ 振付改訂:アレクセイ・ファジェーチェフ)は、12月7日千秋楽を迎えた。
「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」などの貴族的な古典バレエとは異なり、同じボリショイ・バレエの作品でありながら「ドン・キホーテ」は庶民的でたまらなく楽しい。
鍛え抜かれた技術を惜しげもなく「これでもか!」と観客に突き付け、客席からの大拍手を誘う。バジル(セミョーン・チュージン)にリフトされたキトリ(クリスティーナ・クレトワ)のカスタネットを打ち鳴らしながらの演技は、「これってバレエ? ショー・ダンス?」と同行観劇したバレエ教師の知人があきれるほど派手に観客にアピールする。
キトリ名物のグラン・フェッテでは観客は回数を数えながら応援し、完了したところで万雷の拍手。改めて客席に挨拶するクリスティーナの笑顔が可愛くてしかもセクシー。
クリスティーナの元気と健康的な(!?)体重を支えるセミョーンはいかにも若々しい細身だが、エスパーダ(ヴィタリー・ビクティミロフ)他の闘牛士のガッシリした体格でのマッチョな踊りも「ドン・キホーテ」の魅力だ。
幕間の休憩時間には、売店もカフェも多くのリピーターを含む観客で大混雑していた。2年後、2016年の来日公演が待ち遠しい。(12月7日東京文化会館)
2014.12.20 掲載
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