コペンハーゲンの港で見たアンデルセン童話の淑やかな人魚姫が、東京ディズニー・シーではブランコを自在に使う活発な少女アリエルとなり、ディズニーと劇団四季がコラボするミュジーカルでは、三次元の海中世界で色彩豊かな魚たちに囲まれて自由奔放に泳ぎ歌いまくる自立した女性人魚姫アリエルとなる。
同名のアニメ映画が2008年ブロードウエイで舞台化されヨーロッパ版が制作されたが、劇団四季版は更にバージョンアップ、海中世界で髪の毛が逆立ったまま尾びれを揺らせて泳ぐアリエルの傍らには日本固有の魚、カサゴなども現れる。海中世界を賛美する定番の“Under the Sea”の合唱が楽しい。
見事な色彩とスピードのある演出
第一幕は舞台の広さと奥行きの深さの中で繰り広げられる3次元世界の色彩の見事さとスピードに、観客はインターミッションまで固唾をのんだまま。海中世界なので若いアリエルや姉妹ばかりではなく、中年の父親である海の王トリトンも見事に腹筋を使って尾鰭を自由に動かす。ついでながらそれにつられて客席で一緒に腹筋運動をやっていると、カーテンコールまでに150g程度シェイプ・アップできそうだ。
自分だけの世界を求めて秘密基地で想像にふけるアリエルは航海する船上の王子に恋し、難破した船から王子を救い出し陸地まで届ける。
第二幕では二次元世界の地上となる。王子は歌声を頼りに自分の救命者を探すが、海の魔女アースラに誘惑されて美しい声を人間の脚に交換したアリエルは声を失っている。
アリエルの友達の魚やカニ達は彼女を助けるため王宮に密かに現れ、キチンではシェフと立ち回り。大人も子どもも大笑いして拍手喝采する場面だ。
アンデルセン童話では王子に選ばれない人魚姫は海中の泡と消えるが、アリエルは海の魔女と契約した3日の間に王子とキスし人間になることが出来るだろうか?
劇団四季ではロングランに備えてアリエル役と王子役はダブル・キャストとし、他の配役を万一に備えて用意されている。満席が続いているので夏休みに親子で観劇を希望するなら早めに予約した方がよさそうだ。(積水ハウスミュージカルシアター四季劇場「夏」東京大井町)
2013.6.1 掲載
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