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ビターデイズ・スイートナイツ

“Bitter days, Sweet nights”(作・演出:G2 音楽・ピアノ演奏:荻野清子)は、ホロ苦くて軽妙な大人の小劇場ミュージカル。日頃マッチョな橋本さとしが愛する妻に先立たれた腑抜けのカメラマンを演じるのがカワユク、10年ぶりにアメリカから帰国したワケありの義妹(新妻聖子)、亡妻の真面目な親友でカメラマンのマネージャー(堀内敬子)が面倒を見ずにいられないのが理解できる。

新進の上山竜司は、新妻を追っかけて日本に突如やってきた日系米人ジュン。ヘンな日本語で折り目正しい堀内に話しかけて、暗くなりがちな舞台に貴重な笑いを生む。この三人のヴェテラン俳優と新人一人のキャスティングが絶妙だ。


ストーリー

腕利きカメラマンのミノルは、有名歌手で妻のフユコを亡くしたショックから立ち直れないままに酒浸りの毎日。そんな彼を心配してフユコの親友ヤヨイは仕事を紹介するが、ミノルは断るばかり。
  「笑顔は思い出せるのに、声は聞こえない・・・」
  外見はいかついが中身は繊細な男の感情を吐露する橋本のテノールは優しい。

ベルの音にドアを開けたミノルの前に現れたのはナツコ。10年前にアメリカに渡ったまま音信不通だったフユコの妹だ。ナツコはこの家の半分は自分のものだと主張してミノルと同居する。ナツコとフユコの幽霊かと思わす瓜二つの姿にミノルの悩みは更に深まる。

ビターデイズ・スイートナイツ

秘かにミノルを愛するヤヨイの思惑をよそに、ナツコは自宅で失った10年の痕跡を探し始める。
  「ただいま姉さん」
  ナツコは仲直り出来ないまま先に逝かれた姉への屈折した思いを歌い上げる。しかし、当然これはミノルのプライバシーにズカズカと踏み込むことになり、ことあるごとに衝突する。

ナツコを慕って日本まで追ってきたジュンは、衝突しながらも彼女に魅かれてゆくミノルを問い詰めるが・・・。

ビターデイズ・スイートナイツ

ユニークな劇場空間CBGK

小劇場といえば硬くて狭い座席に座り、「舞台に情熱がこもっているから…」と正当化して若者の間で我慢するのが今までの常識だった(少なくとも筆者にとって)。
  ところが、CBGKにはこれまでの常識は当たらない。座席のクッションは分厚く、背もたれが後頭部をしっかり支える。客席の傾斜が適切なので前席の観客の座高に関係なく舞台が隅々まで見える。当夕の観客層も30代から40代半ばの働き盛りの世代が中心のようだった。

この「観客フレンドリー」な客席数242の小劇場が、日本のOFF OFF BROADWAYとして新しい演劇を全国に発信してゆくのを楽しみにしている。(8月11日まで 渋谷CBGK!!)


2012.8.7 掲載

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