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ヴィラ・グランデ 青山〜返り討ちの日曜日〜

広告デザイナーの民谷史章(竹中直人)とカメラマンの陣野圭作(生瀬勝久)。50代の個性派俳優の演じる「Odd Couple」(おかしなふたり)の軽妙でズレた掛け合いに客席に爆笑とクスクス笑いの波が広がる。40代の名脇役、田口弘正が、プロになれないコンプレックスで躁鬱気味の作家・写真家志望のマンション管理人でこの二人に絡む。

中年男の友情とコンプレックスだけでは客を呼べないと、参加したのは20代の若手三人。歌手を目指すOL、早坂津弓に山田優、デザイナーの娘、連に谷村美月、娘の元ボーイフレンド鳴川の親友、日野康也に松下洸平。中年男を通せんぼする現役モデルでもある山田の長い脚、鳴川から彼の親友にさっさと乗り換える谷村の図太さ、舞台には姿を見せない鳴川にあくまで忠実な日野の異常さ。それぞれの見せ場で光っている。

ヴィラ・グランデ 青山

「ヴィラ・グランデ 青山」(作・演出 倉持裕)はバブル末期カタカナ業界人向けに20年前に建てられたマンションの中庭と、生瀬が山田に貸しているアパートで繰り広げられるシチュエーション・コメディー。竹中と生瀬の対決は、二—ル・サイモンの1965年のブロードウエイ・プレイで、1968年には映画にもなったジャックレモンとウオーター・マシューで映画になった“Odd Couple”を思わす。トボケた台詞が攻守瞬時に所を替えて舞台を交差する。

民谷は娘のボーイフレンド、鳴川に二の腕をナイフで切られ、その当人が謝りに来るというので用心棒代わりに3年前に仲たがいした友人、陣野を呼びつける。ノコノコ出てきた陣野は、OLに貸している自分のアパートの点検にかこつけて説教する。

「それらしいプロのふりをして青山のような家賃の高いところには住むな。成功しようがしまいが本気なのが良い」とお説教すると、OLは本気の証拠としてマイクとアンプを取りだし歌い始める。これが初舞台の山田はいかにもそれらしく新鮮だ。

この仲間がマンション中庭でパーティーをしてその音響に他の住民から度々抗議を受けている管理人は、度重なるプレッシャーに遂にブチ切れて、違法駐車しようとするアウディを撃退しようとレンチを振りかざして表に飛び出す。

謝りに来ない鳴川を呼びに行った日野は、鳴川に返り討ちになって体中を切られて傷だらけになってマンションに戻ってくる。

「お前には若い恋人が出来て、連には新しい彼氏が出来たが、俺は血を流している」
  呆然と中庭に立ち尽くす竹中の姿に中年男のペーソスがただよう。

ヴィラ・グランデ 青山

(シアタークリエ11月27日まで。その後全国8都市で公演)


2011.12.12 掲載

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