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ミュージカル「三銃士」

ミュージカル「三銃士」

「一人はみんなのために、みんなは一人のために!」

井上芳雄のダルタニアンは正に適役! ガスコーニュ生まれの元気一杯で陽気な剣士として恋と剣戟に舞台狭しと飛び回る。アンヌ王妃の小間使い、コンスタンスには一目惚れし、三銃士との出会いの後は単身ドーバー海峡を渡ってアンヌ王妃の元恋人であるバッキンガム公爵から誓いの首飾りを返却させ、フランスと英国の戦争を阻止する大役を果たす。晴れて国王ルイ13世に近衛銃士隊の一員に任命されるや元銃士隊の一員であった父の墓前に三銃士とともに額ずく。素直で実に解りやすい役柄だ。

もう一方の適役は瀬名じゅんのミレディー。陽のダルタニアンに対して陰のミレディーの役割がこのミュージカルに深みを加えている。カソリック教会の司教にレイプされながら逆に売春婦の汚名を着せられて名誉回復のためにリシュリュー枢機卿のスパイとなってバッキンガム公爵に近づくが、三銃士の一人である真の恋人アトスに対する思慕の思いはますます募るばかり。銀橋上でアンヌ王妃、コンスタンス、と三人三様に歌う「愛こそが命」でミレディーだけの哀しみが観客の共感を呼ぶ。

加えるに三銃士の面々はアトスに橋本さとし、アラミスに石井一孝、ポルトスは岸祐二。リシュリュー枢機卿は山口祐一郎、アンヌ王妃はシルビア・グラブである。いずれ劣らぬ主演級総出演は帝国劇場100周年記念公演ならではの豪華プログラムだ。

ミュージカル「三銃士」

ミュージカル“三銃士”(原作:アレクサンドル・デュマ 音楽・歌詞:ロブ・ボーランド&フエルディー・ボーランド 脚本:アンドレ・ブリードランド)は2003年オランダで製作・初演、その後ヨーロッパで大ヒットし、今回の東宝公演が日本初上陸となる。


募金の呼びかけ

井上芳雄が「三銃士の『勇気と誇りそして分かちあう心』を東日本災害犠牲者支援へ」と客席に訴え、シルビア・グラブ等俳優たちが募金箱を持ってマチネーの後のロビーに並んだが、観客たちの長蛇の列がなかなか切れなかったようだ。(帝国劇場 8月26日まで)


2011.8.11 掲載

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