シリーズものは、たいがい1作目が一番面白い。『ゴッドファーザー』にしろ『マトリックス』にしろ評価が高いのは1作目だ。最初がヒットしたからシリーズになるわけで、新鮮味も薄れる2作目以降での1作目越えが難しいのは当然でもある。
そこから上手く逃れたのが今回のX-MEN最新作。メンバー一新でシリーズに新風を吹き込むことに成功、シリーズ最高傑作と絶賛する声も出ている。
写真の女性が、その功労者の1人、脚本のジェーン・ゴールドマンだ。マシュー・ヴォーン監督とのコンビは『スターダスト』、『キック・アス』と、作品ごとに評価、人気とも、どんどん上げてきている。今回はSFアクションだがウィットは健在、マグニートのむごい少年期から始ったストーリーも、進むうちに笑いを含んで展開していく。
お隣は夫のジョナサン・ロス。BAFTA(英アカデミー賞)などの司会も務め、イギリスではゴールドマンより知られた顔だ。コミックやおもちゃの収集家としても有名で「アイ・アム・オタク」と自らを言う親日家でもある。
『ウォンテッド』出演時、そのロスから「アンジェリーナ・ジョリーに気をつけろ。養子にされちゃうかもしれないから」と忠告されたほど可愛らしいジェームズ・マカヴォイが、今回プロフェッサーXの若き日を演じている。確かに小柄、小作りだが、コメディからシリアスまでこなす演技派だ。
対するマグニートを演じるのがマイケル・ファスベンダー。こちらも演技派ながら、細マッチョ度でも東のイ・ビョンホンか西のマイケル・ファスベンダーかという肉体派でもある。その肉体美にカリスマ性も全開の『ハンガー』と『フィッシュ・タンク』はファン必見。これを機に、日本でも劇場公開、せめてDVD発売してほしい。
と、ここまで名前をあげてきたのはイギリス勢だが、アメリカ勢ではケヴィン・ベーコンがいい。『フットルース』でのブレイク時から青春スターに似つかわしくない顔と思っていたら、その後、悪役でも活躍しているのはご存知の通り。今回も、血も涙もないようなミュータント役で、小気味いいほどの悪党ぶりを見せてくれる。
新顔がそろった中、そのままなのがヒュー・ジャックマン。1シーンのみ、悪態をつくだけという登場で笑わせてくれる。ウルヴァリン、年をとらないミュータントだったのか。様々ありのミュータント界、ということで、この先、マカヴォイがパトリック・スチュワートになってしまうのも、ファスベンダーがイアン・マッカランまで縮んでしまうのも大目に見よう。
『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』 公開中 |
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プロフェッサーXとマグニートの少年期から、2人が出会い袂を分かつ青年期までが描かれる。強制収容所でパワーを発見された少年がマグニート(ファスベンダー)になっていく過程はドラマチックだし、滑らかな口調で女性の扱いも上手いオックスフォード生だったプロフェッサーX(マカヴォイ)のX-MEN創設までもワクワクさせる。新たなX-MENファンを作り出しそうだ。
監督 マシュー・ヴォーン
出演 ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー ほか
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2011.7.8 掲載
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