本作、地元メキシコでは記録的な大ヒットとなったらしい。
スタッフ、キャストにメキシコの人気者たちが結集したのが勝因?人気サッカー選手となった兄弟の栄光と転落をわかりやすく見せながら、娯楽要素もたっぷりなのがラテン気質にあった?
だが、そんなことより、予想に反して生ディエゴ・ルナがイケてたのが、私にはショック。
イケメン俳優と紹介されていることも知っていたし、出演作をいくつか見てもいたのに、なぜ今まで気づかなかったんだ自分…、資源を無駄にしていたような気分だ。
本作のメキシコでの大人気より、ディエゴを見過ごしていた理由解明の方が急務。
結論から言うと、画面では伝わりにくいんだな、ディエゴみたいなマイルドなイケメンは。
例えば『ミルク』(第6回でご紹介)でもミルクの二代目恋人役だが、初代恋人役のわかりやすいイケメン、ジェームズ・フランコ(スパイダーマンの友達役をやってた人)と並ぶと、印象が薄まってしまう。
加えて、ディエゴは、かっこいい役より、一癖あるような役が多い。マイケル・ジャクソンのものまねで暮らしている青年を演じた『ミスター・ロンリー』なんていうのもあったな。
本作では、役もかっこ悪い上に、ペアを組むのが、これまた強力にくっきりした顔のガエル・ガルシア・ベルナル。
実年齢では今年31歳になるディエゴはガエルの1つ年下だが、映画中では短髪にチョビヒゲの老け作りで妻子持ちの兄さん役。実物は甘いマスクという表現がピッタリの顔なのに、トローンとした目元など、頼りないダメ親父にしか見えない。
本作だけ見て、ガエルではなく、ディエゴを素敵と思う人はまずいないだろう。
惜しいなあディエゴ、本物はいいのに…
でも、薄さゆえに、余分なところがなく、チョビヒゲ親父だろうが、変わり者だろうが、すんなり、その役に見えるということはある。印象薄めだが実は美形という顔は、かえって強みなのかも。
少なくとも、どんなにイケてない役をやろうとも、もう見過ごすことはないぞ、私は。
メキシコのバナナ農園で働いていたサッカー好きの兄弟は、プロ選手としてスカウトされる。それぞれのプレースタイルからルド=荒くれ者(ディエゴ)とクルシ=派手な奴(ガエル)というニックネームで呼ばれる人気者となるのだが…
監督 カルロス・キュアロン
出演 ガエル・ガルシア・ベルナル、ディエゴ・ルナ ほか
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2010.2.13 掲載
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