JK/JC流行語大賞(ロケットニュース24主催)なるものが発表され、コトバ部門の1位は「○○み」となった。これだけ見ると、どういう言葉なのかさっぱりわからないのだが、形容詞に「み」をつけるのだそうだ。例えば、「かわいみ」(「かわいい」の変化)、「やばみ」(「やばい」の変化)、などで、文法的には
である。
元々、形容詞の語幹に「さ」、または「み」を付加して名詞にする用法は古くからあり、転成名詞と呼ばれる。動詞からの場合は本稿でも「極み」(第69、70回)で採り上げた。
「深い」には「深さ」と「深み」がある。「+さ」の場合はどちらかというと物理的な度合いを示し、「+み」にすると、情緒的、観念的な概念を表すと思われる。「深さ」は何cmとか言えるが、「深み」は定量的には言えない。
- 彼の作品には辿(たど)ってきた人生に裏打ちされた深みがある。
というような用法である。
ところが、形容詞によっては、「+み」がなく、「+さ」しか存在しない言葉が多くあり、「+み」が使えるのは限られた言葉である。例えば、「やさしい」の場合は従来、「やさしさ」しかなかった。これは「やさしさ」の場合は定量計測できないので、「+さ」と「+み」を区別する必要がなく、「やさしみ」が必要なかったに違いない。
女子中高生は無意識にそこに注目したのであろう。主にSNSに「やさしみ」、あるいは「やさしみ~」と書く。「み」が可愛らしいという理由だそうだ。確かに「み」は「美」、「味」、「実」等を連想させ、語感がよい。(つづく)
[参考文献]
■ロケットニュース24
【いくつ知ってる?】『JCJK流行語大賞2017』が発表される!「熱盛」「ンゴ」などネットの影響も
2018.1.15 掲載
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