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揺れ動く日本語~MOVIN'JAPANESE

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第87回「○○み」(1)


JK/JC流行語大賞(ロケットニュース24主催)なるものが発表され、コトバ部門の1位は「○○み」となった。これだけ見ると、どういう言葉なのかさっぱりわからないのだが、形容詞に「み」をつけるのだそうだ。例えば、「かわいみ」(「かわいい」の変化)、「やばみ」(「やばい」の変化)、などで、文法的には

  • 形容詞の語幹+み

である。

元々、形容詞の語幹に「さ」、または「み」を付加して名詞にする用法は古くからあり、転成名詞と呼ばれる。動詞からの場合は本稿でも「極み」(第6970回)で採り上げた。

「深い」には「深さ」と「深み」がある。「+さ」の場合はどちらかというと物理的な度合いを示し、「+み」にすると、情緒的、観念的な概念を表すと思われる。「深さ」は何cmとか言えるが、「深み」は定量的には言えない。

  • 彼の作品には辿(たど)ってきた人生に裏打ちされた深みがある。

というような用法である。

ところが、形容詞によっては、「+み」がなく、「+さ」しか存在しない言葉が多くあり、「+み」が使えるのは限られた言葉である。例えば、「やさしい」の場合は従来、「やさしさ」しかなかった。これは「やさしさ」の場合は定量計測できないので、「+さ」と「+み」を区別する必要がなく、「やさしみ」が必要なかったに違いない。

女子中高生は無意識にそこに注目したのであろう。主にSNSに「やさしみ」、あるいは「やさしみ~」と書く。「み」が可愛らしいという理由だそうだ。確かに「み」は「美」、「味」、「実」等を連想させ、語感がよい。(つづく)

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[参考文献]
■ロケットニュース24
【いくつ知ってる?】『JCJK流行語大賞2017』が発表される!「熱盛」「ンゴ」などネットの影響も

2018.1.15 掲載

著者プロフィール
マーク秋山[MARK AKIYAMA] : 1975年、早稲田大学商学部卒業後、日本楽器製造株式会社(現ヤマハ)に入社。楽器用ソフトの企画制作、出版物編集、著作権・法務関連のリーダーを務めた。小学校の壁新聞時代から一貫して、言葉、表記、レイアウトに大きな関心を持つ。定年退職後、日本語学、日本語教育学を学び、現在は愛知国際学院非常勤講師としてアジアからの留学志望者に日本語を教えている。会社員時代からオールディーズ系のバンドで演奏活動を行い、エレキベースを弾く。
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