WEB連載

出版物の案内

会社案内

揺れ動く日本語~MOVIN'JAPANESE

著者プロフィールバックナンバー

第82回「変えるを仕事にする」(2)転成名詞の増殖


前回からつづく
形容詞を名詞化したい時は、

  • 楽器を弾くときは高さが調節できる椅子が便利だ。

のように、語幹に通常の活用とは別の接尾語を付加させる。ただし、使える形容詞は限定的だ。「さ」以外には、「み」(例:深み、渋み)が付加されることがある。

ところが、最近は、

  • 山形には、ここにしかない「おいしい」が、たくさんあります(山形食べる通信)
  • ここにしかないおいしいがつまっている(デイリーヤマザキCM)

という表現が出てきた。従来の感覚では当然、

  • 山形には、ここにしかない「おいしさ」が、たくさんあります
  • ここにしかないおいしさがつまっている

である。

形容詞の場合でも終止形のまま転成名詞として使われているのが新しいが、前者の場合は読みにくさを考慮して、「おいしい」と引用符つきにしてある。

そしてさらに今度は

  • あなたの着たいがきっとみつかる(しまむらCM)

という表現も現れている。

「おいしい」のように形容詞の終止形を名詞とすることに違和感がなくなってきたことにより、動詞+願望の助動詞「たい」の「着たい」も名詞にしてしまうという荒業(あらわざ)だ。この助動詞は形容詞型の活用をするので、スムーズに使えるのである。(つづく)

photo
ここにも、終止形転成名詞が。。。
「止まるを助ける!」

[参考文献]
山形食べる通信
しまむらホームページ(スウェッターズ)

2017.8.15 掲載

著者プロフィール
マーク秋山[MARK AKIYAMA] : 1975年、早稲田大学商学部卒業後、日本楽器製造株式会社(現ヤマハ)に入社。楽器用ソフトの企画制作、出版物編集、著作権・法務関連のリーダーを務めた。小学校の壁新聞時代から一貫して、言葉、表記、レイアウトに大きな関心を持つ。定年退職後、日本語学、日本語教育学を学び、現在は愛知国際学院非常勤講師としてアジアからの留学志望者に日本語を教えている。会社員時代からオールディーズ系のバンドで演奏活動を行い、エレキベースを弾く。
上に戻る