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揺れ動く日本語~MOVIN'JAPANESE

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第83回「変えるを仕事にする」(3)転成名詞の増殖


前回からつづく

  • あなたの着たいがきっとみつかる(しまむらCM)

「着る」のような語幹が一文字の一段活用動詞の場合、

  • 着るが ~見つかる

のように終止形をそのまま転成名詞にしてしまうと、語呂が悪いということも影響しているはずだ。
もっとも、この文は

  • あなたの着たい服がきっとみつかる

の目的語「服」が省略されていると見ることもできる。

いずれにしても、このように新型転成名詞は増加しているのだが、今のところ書名やキャッチフレーズ、CMのコピーが主である。コピーライターたちが目新しい表現を常に探しているからに他ならない。

しかし、今後十年くらいかかって、これらの表現が一般の話し言葉に浸透していく可能性は大きい。
その頃には芸能人の記者会見などで、

  • 「彼のどこが好きになったのですか?」
  • 「そうですねえ、彼のやさしいが好きです。」

というような会話が普通になってしまうかもしれない。

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「足りない」を~・・・
かぎかっこをつけることによって、
転成名詞化を表している。

[参考文献]
ヒューマンアカデミー編2011『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第二版』翔泳社
高見澤孟・監修2004『新・はじめての日本語教育』(株)アスク出版
山形食べる通信
しまむらホームページ(スウェッターズ)

2017.9.15 掲載

著者プロフィール
マーク秋山[MARK AKIYAMA] : 1975年、早稲田大学商学部卒業後、日本楽器製造株式会社(現ヤマハ)に入社。楽器用ソフトの企画制作、出版物編集、著作権・法務関連のリーダーを務めた。小学校の壁新聞時代から一貫して、言葉、表記、レイアウトに大きな関心を持つ。定年退職後、日本語学、日本語教育学を学び、現在は愛知国際学院非常勤講師としてアジアからの留学志望者に日本語を教えている。会社員時代からオールディーズ系のバンドで演奏活動を行い、エレキベースを弾く。
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