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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2006年1月23日発行 ━

●━━ 若手国会議員メルマガ 『未来総理』 第162号  ━━━━━━●

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 先日とうとう関東でも大雪が降り、日本全国寒い日々が続いていますが、
皆様お元気に過ごしていらっしゃいますか?大雪による死者が100人を超
え、この人数は戦後4番目に達しました。皆様十分お気をつけ下さい。

 今回は民主党の桜井議員、自民党の鈴木議員から届いた意見をお届けしま
す。今年最初の「未来総理」となりますが、今年もよろしくお願いいたしま
す。

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  目次
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■「実態を無視した制度改革」
         桜井 充(参議院議員・民主・宮城)

■「真に対等な日中関係の構築こそが平和のキーワード」
         鈴木馨祐(衆議院議員・自民・比例南関東)

◎編集後記
◎次号予告
◎未来総理メンバーの紹介

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■「実態を無視した制度改革」
         桜井 充(さくらいみつる・参議院議員・民主・宮城)
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 郵政民営化の流れに従い、政府系の金融機関の見直しが行われている。確
かに、財投債を通じて、郵貯・簡保マネーが政府系の金融機関に流れている。
そのことを考えれば、郵政民営化が入り口であり、政府系の金融機関は出口
という事になるのだろう。だから、見直しが必要なのだという理論になるの
だが、それが正論だろうか。

 本来、政府の役割のひとつは民業の補完である。このことから考えれば、
政府系金融機関の見直しの前提は、民間の金融機関が資金を必要としている
ところに、きちんと融資している事となるはずだ。ところが、どうだろうか
?未だに民間の金融機関は、中小企業向け融資を減らしている。このような
中で、融資額を縮小しましょうという政策をとること自体おかしな話である。

 ところが、このようなことに対して異を唱えると、「抵抗勢力」あるいは
「守旧派」というレッテルを貼られてしまう。そのために正論であったとし
ても、誰も物が言えなくなってしまう。しかし、ここできちんとした事を主
張しなければ、地域経済は崩壊してしまうかも知れない。このことを考えれ
ば、マスコミからどれだけたたかれようが、実態を踏まえた意見を言い続け
るべきである。

 私は、民間の金融機関がきちんと役割を果たせば、政府系の金融機関は不
要だと考えている。しかし現在、民間金融機関の貸出残高が減少している中
で、政府系の金融機関の融資を減らす事には反対である。確かに、民間の金
融機関が貸し出し可能な企業に対しても、政府系の金融機関が融資している
事も事実である。さらに言えば、天下りの問題が存在する事も厳然たる事実
である。

 しかし、その解決策の第一歩が政府系の金融機関の統廃合であり、民営化
だろうか。私は、最初に行うべき事は、民間の金融機関の実態をきちんと把
握する事から始めるべきであると考えている。つまり、民間の金融機関が、
地域の中小・零細企業に対して適切に融資できるのかを調べるべきである。
その上で、国策としてどの部分を補完しなければならないのかを考え、政府
系の金融機関の改革に着手するべきである。

 官から民へという流れに逆らうつもりは無い。しかし、実態も知らずに融
資額を半減させるというような、根拠も無い数字を出し、実態を無視した改
正は改革という名に値しない。独裁的政治を変えない限り、私たちの生活は
悪くなるばかりである。

 ◆桜井 充ホームページ http://www.uranus.dti.ne.jp/~sakurai/

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■「真に対等な日中関係の構築こそが平和のキーワード」
       鈴木馨祐(すずきけいすけ・衆議院議員・自民・比例南関東)
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 現在日中関係は政治的には停滞してしまっています。一義的に関係を停滞
に追い込んでいるのは中国側の拒否であることに異論はないでしょう。中国
側から交渉したいとアプローチがあるのを日本が断っているのではなく、日
本側からアプローチしているのを中国側が断っているというのが実態です。

 その拒否の背景として中国が主張しているのは、報道ベースでは靖国神社
への総理の参拝問題であるとのことです。中国の対日友好スタンスを小泉総
理がぶち壊しにしているというのが中国政府の主張です。しかしそれは本当
なのでしょうか?検証してみましょう。

 まず中国政府の対外政策スタンスの決定過程において「人民の怒り」とい
うものは影響力を持ち得ません。先日「日本もマスコミの論調を規制すべき
だ」というコメントを公式に発したことから判断すれば、中国政府は「世論
とはコントロールできるもの」と認識しているようです。そのような体制で
ある中国の政府の対外政策は事実上中国政府、指導層が考えていることが反
映されていると考えるのが妥当でしょう。

 次に中国政府がなぜ「靖国神社に小泉総理が参拝したから日中交渉を凍結
するべき」と考えているのかについて考えたいと思います。ここで重要なの
は、「靖国神社に参拝するのをやめさせるために(本当は行いたい)日中交
渉を凍結している」のか、「日中交渉を凍結させる手段として靖国問題を持
ち出しているのか」という点です。

 もし前者であれば、上述したように世論というものをコントロールできる
状態にある中国首脳部の動機としては、プライドを傷つけられた怒りくらい
しかなさそうです。しかしおそらく中国政府は個人的な感情を理由により大
きな利益「(本当は行いたい)日中交渉」を犠牲にするような愚かな政府で
はないでしょう。中国政府の対外政策の戦略性はさすが孫子の国と思わせる
ような素晴らしいものだからです。

 であるならば「中国政府は靖国があろうとなかろうと日中交渉の再開をし
たくないのではないか?」と考えるのが自然なようです。すなわち日中交渉
が止まっていることが中国にとってはより大きな利益となる、ということで
す。

 ではそれほど大きな利益とは何なのでしょうか?
 現在中国が日本との関係において時間を味方につけている一番の好例は東
シナ海のガス田開発です。中国側はパイプラインの設置も終わり営業を開始
している一方で日本側は試掘すら行っていない。日中交渉が止まっている限
り、国際的なルールにより近い日中中間線をまたがる日中双方に権利がある
天然資源について中国側だけが利益を得続けることができるわけです。日中
交渉が再開されてしまえば中国側にとっては現状よりも有利になることはな
く不利になるばかりなのです。

 この問題にしても、問題がガスのことだけであるのであれば事後的に補償
でも請求すればいいのかもしれません。しかし問題はさらに深刻なのです。
中国が人口の増加、経済成長を背景に原油・天然ガスなどの資源不足に悩ま
されているのは事実です。そのためにカザフスタンやシベリアなどの天然資
源を積極的に獲得しようとしているのが現状です。東シナ海もその延長なの
でしょうか?その答えはおそらくかなりの確率で「否」であります。

 海底のガス田、しかも予測では埋蔵量もそこまで巨大でなく、中国から遠
く離れた海洋にあって非常に長いパイプラインで運ばなくてはならない。日
本の技術をもってしても採算が危ういほどです。ましてや中国の技術では、
公式見解はともかく実態としては、カザフやロシア、中国内陸部などその他
の数多くのまだ中国が確保しきれていない天然ガスよりも圧倒的に高コスト
であるのは火を見るよりも明らかです。

 日本との摩擦も加味すれば経済その他の合理性からあまり開発する意味が
ない、むしろリスクがあまりにも大きいのが東シナ海のガス田「白樺」なの
です。一時期興味を示していたシェル等の西側のメジャーが2004年9月
に同海域のガス田開発から撤退したこと、その直後の中国側関係者のコメン
トからもそのことは容易に推察されます。

 それをなぜ中国はリスクを省みずに必死に開発せざるを得ないのか?その
答えは安全保障上の理由にあると考えるのが適当なようです。紙面も限られ
ていますので簡単に述べることにします。

 米国防総省の議会報告によれば、現時点での中国の軍事力を分析すると、
発射までの隠密性が高く戦略的に重要な固体燃料式でかつ移動可能(サイロ
式でない)な弾道ミサイルに関しては、2007年から2009年までに配
備が行われる予定の新型のものをもってしてもフロリダはミサイルの射程圏
外です。

 一方アメリカの弾道ミサイルについては中国全土をカバーできる状況にあ
ります。すなわち中国が核等による先制攻撃をしても、アメリカを完全に破
壊することはできず、逆にアメリカからの反撃で中国の国土のすべてが破壊
されてしまうという戦略的な状況にあります。すなわち米中の軍事バランス
は戦略的に圧倒的にアメリカに有利な状況にあるのです。

 これを五分五分(国際政治で言う「相互確証破壊」の状態)に中国がもっ
ていくために最も効果的なのが、潜水艦の活用です。すなわち東シナ海を越
えてアメリカに少しでも近づいた地点で潜水艦から弾道ミサイルを発射する
ことで中国はフロリダを含めたアメリカを弾道ミサイルの射程に収めること
ができるということです。そのようなことが現実になれば、アメリカが台湾
や日本を中国から守ることのアメリカにとってのリスクは今以上に大きくな
り戦略的な見直しがなされる可能性すらあるわけです。

 中国としてはこのような状況を現実的なものにすることのメリットが非常
に大きいわけですが、現状では東シナ海は日中中間線までアメリカのアジア
の最大の同盟国である日本が実効的に支配しており、中国の潜水艦が発見さ
れずに常に太平洋まで出られる可能性は低い状況にあります。従って、中国
としては国家戦略上の要請から東シナ海における日本の海洋権益・制海権を
低下させることが必要であり、そのような海洋戦略を中国軍・政府が描くこ
とはむしろ自然かもしれません。

 海洋法の世界では既成事実の積み上げによって境界が決まるという例も見
られるようです。そのことを考えると、中国が東シナ海の日中中間線の日本
側にかかっているガス田の単独採掘にこれ程こだわるのは、既成事実を積み
上げることでこの海域を中国のものとするための布石を打つためであるとい
う可能性も否定できないのではないでしょか。

 次の段階として、「単独で採掘しているのだから客観的にガス田全体が中
国のものである」と大声でアピールして日中中間線という日本の主張を国際
的に骨抜きにするということを中国が意図していないとは誰も言えませんし、
むしろ状況証拠から客観的に考えればその可能性が高いとすらいえるのでは
ないでしょうか。

 そして、中国側がこのような意図で日中交渉の停滞を望んでいるのである
以上、彼らが交渉が自分に都合よい方向に行かないと判断すれば、たとえ総
理が靖国への参拝をやめても中国は新たな材料を見つけてきて再び日本の何
かを批判し、既成事実が積み上がるまでの一定期間交渉を止めにかかるでし
ょう。

 その場合、日本にとっては、「靖国で中国に譲歩し内政干渉を許した」と
いう、あってはならない前例が残るだけで日中交渉は引き続き停滞、という
まさに踏んだり蹴ったりの状況、さらにそれに味を占めた中国はますます強
硬なこと(最近言及し始めている沖縄自体の帰属など)を要求してくる可能
性すらあります。

 日本としては、中国も言っているように東シナ海を真に「協力と友好の海」
にするべく、中国との真に対等な関係をしっかりと構築していくことで、基
盤のしっかりした真の日中の友好関係を追求していくことこそが対中国外交
の基本方針であるべきなのです。軍備増強を続ける独裁国家である中国の言
うがままに日本が譲歩することは、長期的に見ればかえって地域の不安定化、
さらには世界情勢の不安定化を招きかねないことに留意することが必要です。

 ◆鈴木馨祐ホームページ http://www.suzukikeisuke.jp/

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 編集後記                吉永歩 (ロゼッタストーン)
────────────────────────────────☆★
 今年最初の「未来総理」はいかがでしたでしょうか?桜井議員も鈴木議員
も熱い原稿を書いていただき、とても読み応えがあったと思います。

 今年の「未来総理」ですが、発行形態を変えさせていただきたいと思いま
す。これまで、毎週月曜日発行としてきましたが、今年からは毎月第2、4
月曜日発行とさせていただきます。また、昨年よりスケジュールの都合など
で1年間原稿をいただけなかった議員の方は、未来総理メンバーから外れて
いただくという方針で発行していましたので、今回からメンバーが7人減り、
20名となりました。今後ともよろしくお願いいたします。

「未来総理」へのご意見、ご質問は souri@rosetta.jp までお気軽にどうぞ。

※いただいたご意見は、「未来総理」のほか、「ロゼッタストーンWEB」の
  感想掲示板にも掲載させていただく場合があります。
 ご了承ください。

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 次号予告
────────────────────────────────☆★
 次回の配信は、2月13日(月)です。

 福島みずほ議員  達増拓也議員 上田 勇議員 下地幹郎議員

 が登場する予定です。

 ※内容は変更する場合もあります。ご了承ください。

◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 未来総理メンバーの紹介
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 「未来総理」には、超党派の20名が参加しています。   (敬称略)
 (★:新参加議員)

 ◇衆議院
  泉 健太(民主党・京都)★        上田 勇(公明党・神奈川)
   近藤昭一(民主党・愛知)         末松義規(民主党・東京)★
  鈴木馨祐(自民党:比例南関東)★
  下地幹郎(無所属・沖縄)★        達増拓也(民主党・岩手)
   長島昭久(民主党・比例東京)        西村康稔(自民党・兵庫)
   福島 豊(公明党・大阪)         細野豪志(民主党・静岡)
  村井宗明(民主党・比例北信越)★
  渡辺 周(民主党・静岡)★

 ◇参議院
  荒木清寛(公明党・比例)          有村治子(自民党・比例)
  小池 晃(共産党・比例)         桜井 充(民主党・宮城)
   福島みずほ(社民党・比例)        藤末健三(民主党・比例)
  松下新平(無所属・宮崎)

詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、
ロゼッタストーンWEBページで公開しています。→プロフィール
各議員のホームページにもリンクしています。

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発行人:弘中百合子 編集人:吉永歩
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