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スポ根的フィールグッド音楽ドラマ『セッション』

昨年度の映画中、鑑賞後の気持ち良さではピカイチだったのがこちら。ジャズ・ドラマーを目指す青年が主人公の音楽ドラマですが、厳しさはスポ根ドラマ並み。それでいて、オンチな人も、根性ものが嫌いな人も、そらさない。ヤッター!という気分で観終えられます。
  この映画が長編2作目となるデイミアン・チャゼル監督が、自身の学生時代を基に脚本も書いています。ヤッター!の勢いで、オスカー行くかもと思ったら、3冠!

まずはJ・K・シモンズの助演男優賞。自分の率いるジャズ・オーケストラで、生徒の自尊心を粉々に打ち砕くほど怒鳴り散らす教師役は、あまりの怒りっぷりに笑ってしまうほど。生徒の1人である主人公を応援せずにいられなくなるのは、この教師の酷さあればこそ。
  生徒の成長を願うあまりなんて優しさは全然なく、あくまで自分のオーケストラのレベルを下げないため。怒鳴られても、殴られても、学ぼうとする主人公に、はっきり敵となって対峙する最後が見もの。

そして編集賞に録音賞。ドラムの音に乗って、小気味よく見せるテンポが見事。観客をハラハラさせたまま引きつけ、だれることなく、クライマックスまで運びます。
  エンドロールが始っても、まだ続くドラムの音が止んだ瞬間、主人公がやり遂げたとわかります。熱いものがこみあげ、拍手せずにはいられません。結果、上映後の試写会場はコンサート会場みたいに、ドラム演奏に拍手する状態。そして、その心憎い演出に気がつき、主人公に向けた拍手を、今度はあらためて映画に向けるというふうでした。
  プレス試写には、基本、プレスだけで、その映画の関係者はいませんし、拍手があがること自体それほど多くはないです。シーンとしてるのはまだいい方で、ブーイングや失笑が出ることさえあります。長い拍手が続くのは、かなり上出来。

ドラムを叩く姿が様になってる主演のマイルズ・テラーは、やはり、ドラムの経験有りだそう。『ラビット・ホール』では被害者の遺族と向き合うことになる加害者、『The Spectacular Now』では問題ありの学生と、癖のある役どころをじっくりと見せてきました。『ファンタスティック・フォー』など、これから主演作が続く注目株でもあります。


『セッション』4月17日公開 ■ ■ ■

小さい頃にドラムを始めたアンドリュー(テラー)は、ジャズ・ドラマーになることだけを夢見てきた学生。全てを犠牲にしてまで、フレッチャー(シモンズ)率いるジャズ・オーケストラでドラマーの座を得ようとするが…。

 監督 デイミアン・チャゼル
 出演 マイルズ・テラー、J・K・シモンズ ほか

2015.4.17 掲載

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