この映画は、文字通り、6才のボクが大人になるまで、の12年間を撮ったもの。それも、ドキュメンタリーではなくドラマ!
主人公メイソンとして、成長を見せてくれるのはエラー・コルトレーン。大きくなるにつれ、アートに興味を持つメイソン、撮った写真が展示されたのを、家族そろって見に行くシーンがあります。そのあたりのストーリー展開は、演じるエラーの成長がそのまま反映されています。
「あの写真は、ほんとうに僕が撮ったものです」と、ちょっと誇らしげに語っていたエラーです。
「違う映画になる可能性もあった。大男のレスラーになっていたりしたら、その方向の映画になっただろう」というリンクレイター監督は、エラーの成長にあわせ、脚本を書いています。
エラーとともに大人になっていくのが姉役のローレライ・リンクレイター。リンクレイター監督の実際のお嬢さんです。2人の子どもは映画の中で大きくなっていきますが、大人のキャストは当然12歳老けます。老けていくのを見せてくれるのが、パトリシア・アークエットとイーサン・ホーク。
イーサンにリンクレイター監督と言えば、ジュリー・デルビーも加えて『ビフォア』シリーズの名トリオ。約20年に渡る恋人たちの変遷をイーサンとジュリーが演じながら、リンクレイター監督が手がける脚本にも加わっています。そちらは最初の作品が素晴らしく、その後の2人を知りたくてたまらなくなるので、約10年後の続編、また続編となったわけですが、同じ人物を同じ役者が演じ続けるのは、そこからの発想でもありそう。
今回、イーサンはメイソンの父親役。ですが、メイソン6才の時点で既に離婚していて、たまにしか会えません。
シングル・マザーとしてメイソンを育てる母親役がパトリシア・アークエット。再婚するも、その相手がメイソンにとっての良い父親でなかったり、多難です。成長して、巣立っていく子らはもちろん、育て上げ、老いて残る大人たちにも、愛しさがこみあげてきます。リンクレイター監督は、この作品で第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を獲得しました。
『6才のボクが、大人になるまで。』11月14日公開 |
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6才のメイソン(コルトレーン)は、姉(ローレライ・リンクレイター)、母(アークエット)とともにテキサスで暮らす。そこでの暮らしが気に入っていたのに、より良い職を求めて、ヒューストン大学に通おうとする母に連れられ、引っ越すことになり…
監督 リチャード・リンクレイター
出演 エラー・コルトレーン、パトリシア・アークエット、イーサン・ホーク ほか
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2014.11.13 掲載
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