タイトル通り、フランケンシュタインのパロディ。でも、ツギハギだらけで蘇るのは人間ではなく小型犬だから、ちっとも怖くない。キモ可愛い3D白黒マペット・アニメで、小さいお子様でも安心して見られるファミリー映画だ。それでいて、ティム・バートン監督テイストもたっぷりだから、バートン・ファンも、もちろん満足できるはず。
もともとこの映画は1984年に公開された短編。30年近くを経て長編にできた技術力、愛着も感じられる。
この映画が開幕作品となった今年のロンドン映画祭は、バートン監督とパートナーで女優のヘレナ・ボナム=カーター両名への英国映画協会(BFI)フェローシップ授与に、フランケンウィニー展開催と、バートン監督祭り状態。
イギリスを舞台にした映画も撮っているバートン監督、これを機にもっとイギリスでの活動が増えれば、取材機会が増えるやもしれぬ私めも大変うれしゅうございます。
さて『フランケンウィニー』、それぞれ超個性的なマペットたちの中でも、やはり気になるのは日本人キャラのトシアキ。野球チームでピッチャーを務める、負けず嫌いの少年だ。その負けん気が物語を引っ掻き回し、騒動の引き金ともなるキャラクターになっている。
日本関連キャラでは、ガメラもどき怪獣も登場。そう言えば、バートン監督は1985年公開の初長編監督映画『ピーウィーの大冒険』でもゴジラを登場させ、喜ばせてくれたものだ。
今回は再々度のディズニー映画ということで、会見では、若かりし日にアニメーターとして入ったディズニーを首になったことへの質問も出た。
「『おまえは首だ!』みたいなことはなくて、そこはディズニー・フレンドリーで…」と答えるバートン監督に、すかさずマーティン・ショートがミッキー・マウスの可愛い声で「きみは首だよ」と横から混ぜっ返して会場を沸かせた。ショートは、主人公の父親はじめ3人分のキャラクターを担当している芸達者だ。
笑いに紛らしたバートン監督だが、ディズニーで上手くいかずにいた当時は、かなりへこんでいたようだ。「仕事中ロッカーに隠れていたこともあったから、だいぶ変になってたんだろうね」とかつて語っていた。ディズニーでは受け入れられなかった自分のスタイルをその後も貫き、確立させたことで、皮肉にもそのディズニーと互角に組んで仕事をするまでになったわけだ。
若き日の挫折でめげなかったからこそ今があるというのは、なかなか励みになるお話。
『フランケンウィニー』12月15日公開 |
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監督 ティム・バートン
出演 チャーリー・ターハン、キャサリン・オハラ、ウィノナ・ライダー ほか
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2012.12.16 掲載
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