ついにハリー・ポッターが終わってしまう。
映画史上最大のヒットシリーズということを抜きにしても、稀な映画だった。言ってみれば、世界中の人が、ダニエル・ラドクリフをはじめとする主要キャラクターの子どもたちの成長を見た。小学生だった子らも、10年続いたシリーズのうちに成人している。
と考えるだけで、こちらまで感無量になってしまうけれど、会見は意外に明るかった。撮影が終わったのは去年の春だから、もうだいぶ経っていたせいかもしれない。けっこう笑いもあがっていた。
会場、大受けだったのが、レイフ・ファインズ。ヴォルデモート卿の衣装の下に、ガーターベルトを着用していたことを暴露。もともとタイツだったのが、ずり落ちてきて困るから、切ってもらって、ガーターベルトの出番となったのだそう。ガーターベルトでスタントマンをからかっていたことを、うれしそうに話していた。
演技派のシェイクスピア俳優、今年のベルリン映画祭では初監督映画のお披露目もしていたファインズだが、茶目っ気もたっぷりのようだ。
映画中のヴォルデモート卿は、3Dになって奥行きが出たこともあって、迫力も増している。シリーズが進むうちに、ファンタジーから、冒険、アクション色を強めたハリポタ、今回は『ロード・オブ・ザ・リング』と見まごうようなシーンも登場する。これ以上続けて、もっとすごくされても困ってしまうし、ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリントのトリオもまだ可愛いく、ファンタジーを感じさせるうちにということでは、ちょうど潮時だったのかもしれない。
ラドクリフは、一時期アルコール依存気味だったという告白でも話題だが、やはり人の子だったかと、おおむね好意的に受け止められている。
「億万長者でいる気分は?」のような質問にも上手に答えるし、ファンを決してガッカリさせることがないと共演者にも褒められる優等生だったから。
ハリポタの撮影が行われていたリーヴスデン・スタジオは、昔は爆撃機を作る工場だった。セットや撮影機材がなければ、ただの広くて埃っぽい倉庫だ。取材した際のラドクリフは、薄ら寒いその倉庫の中で、叫んで走るというシーンを繰り返していた。
あれが、このマジカルな映画になったということ自体が、魔法みたいだ。その魔法の方に属さなくてはいけないのがスターなのかもしれない。
いずれにせよ、子役スターだったみなさんは、これから良きにつけ悪しきにつけ、あのハリポタのと言われるだろう。子ども時代から見られ続ける一生。億万長者である代償としては高くない?
『ハリー・ポッターと死の秘宝 Part2』7月15日公開 |
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ハリー(ラドクリフ)とヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)の決戦の時が近づく中で、ハリーに刻まれた運命も明らかになっていく。逃れようのない運命に覚悟を決めたハリーは…
監督 デヴィッド・イェーツ
出演 ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン ほか
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2011.7.15 掲載
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