WEB連載

出版物の案内

会社案内

学園ものじゃない最終章『ハリー・ポッターと死の秘宝 Part1』

今度のハリポタは一味違う。
  かなり変わった学校とはいえ、言ってみれば、今までのハリポタは魔法学校ホグワーツを舞台にした学園もの。そのホグワーツが今回ちっとも出てこない。ハリーもロンもハーマイオニーも制服姿じゃないのだ。

何を着て、何処にいるかというと、ヴォルデモートの追っ手を逃れ、普通の現代の若者と変わらない格好で、ロンドンの街中で身を隠したり、山の中に潜んだりもする。もとから現代の話ではあったけど、クラッシックな雰囲気のホグワーツから外に出たのが新鮮だ。今の時代にやってきた3人組というふう。

そもそもメイン3人はもう制服の歳でもない。実物と物語が一致したような服装だし、話そのものも、ちょっと大人っぽい。
  逃亡生活の中で、ロンが去った後、ハリーが落ち込むハーマイオニーの手をとって、ラジオから流れるニック・ケイブの「O Children」にあわせてダンスするシーンがいい。全編ピリピリ緊張感のある中で、そこだけ優しく柔らかい。
  なぜロンが去ったか、ダンスの後2人は…というのは見てのお楽しみ。

毎回、マイケル・ガンボンやマギー・スミス級の大御所俳優からヘレナ・ボナム・カーター、レイフ・ファインズみたいな油ののったとこまで、イギリスの幅広い層の俳優が出てくるハリポタ、今回は要チェックどころとも言うべきイギリス俳優が加わっている。

マルフォイ家に悪役大集合した中にいるのがピーター・マラン。最近は『マグダラの祈り』での金獅子賞受賞など監督としての方が有名かもしれない名優だ。同じく俳優で監督でもあるニック・モランも悪の手先として出てくる。重要な鍵を握る役になっているのが、このところすっかり人気俳優のリス・アイファンズ。最初、ちょっと踊るシーンがあって、すぐに姿を消すのだが、踊る胸元に光る意味ありげなペンダント、やっぱり意味があって再登場。

ところで、アイファンズ、お間抜けキャラ役が多かったのが、シエナ・ミラーとつきあってから、かっこいい役や主役が増えた気がする。あのシエナがつきあうような男性ということで株を上げた?シエナの件がなくても、いずれは注目された俳優かもしれないが、そのスピードが速まったということはありそうだ。そういうのも、あげまんって言うんだろうか。

『ハリー・ポッターと死の秘宝 Part1』11月19日公開 ■ ■ ■

暗雲立ち込める中、ハリー(ラドクリフ)にとって、ダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)亡き後のホグワーツさえ安全な場所ではない。ロン(グリント)とハーマイオニー(ワトソン)とともに身を隠しつつ、ヴォルデモート打倒のために謎を解き明かしていくハリー。一方、ヴォルデモート(レイフ・ファインズ)は、ますます力を蓄え…

 監督 デヴィッド・イェーツ
 出演 ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン ほか

2010.11.18 掲載

著者プロフィールバックナンバー
上に戻る