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お家で怒涛の4時間体験『愛のむきだし』

この冬、『アバター』驚異のデジタル3D体験(前回ご紹介)で年忘れ、新年の景気づけも楽しいが、冬ごもり態勢という方は、お家で『愛のむきだし』怒涛の4時間体験などいかが?
  1月に日本で公開、2月のベルリン国際映画祭でカリガリ賞と国際批評家連盟賞をダブル受賞、今はDVDになっている本作、もう、ご覧になりました?

もし、ご覧になっていたら、脱帽。
  というのも、私、ベルリンで見逃してしまい、10月にやっと見た始末。
  上映時間3時間57分、盗撮マニアの男の子が主役で、そのタイトルが愛のむきだし…
  どれもが、まあ観なくてもいっかという方向に作用してしまい、ベルリンでの上映時には別を取材していたところにダブル受賞、遅ればせながら10月にロンドンのレインダンス映画祭で見て、せっかくの機会に見逃していたことを深く後悔。
  私の中では、見もしないで、その手の映画ね、などと思ってしまってはイケナイという代表作。

この映画の4時間は、例えるなら、読み出したコミックが面白くて止められず、気がついたら全〇〇巻一気読みしちゃった、という感じであっという間。やるなあ、カリガリ賞も、国際批評家連盟も。見逃さなかったわけだね(そりゃそうか)。

続々登場の、どこかアブノーマルで極端なキャラクターに演技派が多数出演。渡部篤郎、吹越満あたりが上手いのは知っていたが、板尾創路って、いい役者になってたのね。
  ダウンタウンといっしょにコントやってた時代しか知らなかったが、『空気人形』でも、わびしさに説得力のあるダッチワイフ愛好者役を好演、最近、監督業にも進出して、すっかり映画人。

知らなかったと言えば、主役はじめメインキャラクターの若い方々についても、ほとんど無知で見てしまったが、私でも充分知ってるところに、話を戻してくれたのが、レインダンス映画祭参加の安藤モモコ監督。
  悪役のような役回りの安藤サクラが、ヒロイン満島ひかりに恋する主役西島隆弘にじっとり迫るシーン、『眠らない街 新宿鮫』で主役の真田裕之と絡む、ゲイの敵役奥田瑛二に似ていると指摘してくれた。新宿鮫なんて、なつかしー。言われてみれば、妖しい雰囲気、似ているような…

モモコ、サクラ姉妹は、奥田瑛二、安藤和津夫妻の長女、次女。『愛のむきだし』と『眠らない街 新宿鮫』で、サクラ、奥田親子を見比べるのも一興かも。新宿鮫には真田、奥田のご両人に加え、浅野忠信も出てて、1993年製作で、みなさん若い。
  日本映画で私がピンとくる世代のみなさんの、お子達が活躍する時代…なんてしみじみしつつ、新しい年を迎え、また1つ、歳をとるんだな。
  みなさまも、よい年をお迎えください。

『愛のむきだし』DVD発売中 ■ ■ ■

ひどい幼少期がトラウマとなり、それぞれ、思いっきり間違った方向に進んでしまっている思春期の男の子、女の子の出会いから始まる怒涛のストーリー、あまりに大胆な設定で、コミックでも原作になっているのかと思いきや、盗撮魔の男の子が新興宗教団体から妹を脱退させたという実話が基になってるそう。日本の現実、スゴ過ぎ。

 監督 園子温
 出演 西島隆弘、満島ひかり、安藤サクラ ほか

2010.1.8 掲載

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