『タイタニック』のジェームズ・キャメロン監督が10数年構想をあたためた新作。
環境破壊、スピリチュアル、戦争、ロマンス…などなど、様々な切り口で語れるテンコ盛り大作だが、やはり一番すごいのは映像。リアルな質感で、架空の色鮮やかな動植物がほんとうに目の前にあるよう。監督自らが開発に加わったという新システムのカメラで撮影、昔ながらの赤青メガネの3Dとは全く次元が違うデジタル3Dになっている。
このところ大流行りの3D、イギリスではテレビでも3Dウィークが組まれたりしている。もちろんデジタルではないが、3D作品はかなり昔から作られていたことが発見だった。
1953年のエリザベス女王の3D映像というものまで登場。
3Dを意識した女王が、カメラに向かってグッと手を差し伸べる…なんてことはなく、行進する馬車やら兵隊さんたちに多少奥行きが出てるという程度のおとなしいものだが、その当時は、すごいことだったろうと想像できて面白い。カラーでしかも3Dとの説明が時代を感じさせる。
3Dモーメント・ベストテンのような番組もあったが、思いのほか白黒映像のものが多かった。昔ほど、純粋に驚嘆したのかもしれない。
この番組では、映像そのものより、何を3Dにしたかが興味深かった。お腹にグサリ!ヤリをつき立てられた人がこちらを向いてみせ、ヤリがビヨヨーンと突き出て見えるような映画は、単純だが、3Dが効いている。
効果は女王と同じくらい微妙と思ったのが、3Dポルノ。3Dにしたい気持ちもわからなくもないが。
3Dの王道を行くのは、『アバター』のようなSFタッチのものや、アニメ作品。実在しないものがリアルに見えるというところで、3Dがいきてくる。
イギリスでは3D作品も普通の2Dで上映する館もあって選べるのだが、日本でも同じ?だとしたら、デジタル3D時代の幕開けを飾る『アバター』、是非3Dで観ることをお勧めしたい。
死んだ兄の代わりに、惑星パンドラ調査隊に配属される元海兵隊員ジェイク。車椅子での生活から、自分の意識を注入してアバターと呼ばれる体に入り、また走り回る自由を手に入れたジェイクだったが、しだいに任務とパンドラへの思いの板ばさみに苦しむようになり…。強くて美しいパンドラや調査隊の女性たちも見所。
監督 ジェームズ・キャメロン
出演 サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーヴァー ほか
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2009.12.23 掲載
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