日本も同様だったらしいけど、最後のコンサートが予定されていたイギリスでも、マイケル・ジャクソンが亡くなってから、テレビで追悼番組みたいなのが続いた。過去の番組の再放送だったり、過去の映像をつなぎあわせてコメントだけ入れたみたいなのが多くって、別に観なくてもいいようなもんなのに、けっこう律儀に観てしまった。
それでまた、神業的な歌とダンスにひたすらビックリした80年代から、どんどん顔は変わるわ、小児性愛疑惑の裁判は起こるわで、スターの中でも、特別にいろんなことを考えさせる人なわけで、別に考えなくてもいいようなもんなのに、これまた律儀に考えてしまった。
結果、特にファンでもないくせに、いろいろの思いを抱きつつ、さんざん映像を見るということを続けてしまったこの夏。試写の機会がなかったこの映画、全世界同時封切でイギリスでも28日公開、観るとしたらこれからなのだが、もう公開と同時にすぐ見なくてもいいような気分。だが、マイケルが亡くなった当初から、大手CDショップHMVのピカデリー・サーカス店やコンサート会場となるはずだったO2アリーナにファンが集い、お供えの花束やキャンドルがしばらく途切れることがなかったロンドンでは、コンサートの代わりに映画を観るファンも多そうだ。
というわけで、まだ観てないし、すぐには観る予定もないこの映画、ここからは、マイケルとは、直接関係のない、どんな場合でも立場をわきまえる日本人、また日本語の奥深さのお話。なーんて、そんな大げさなものでもないですが。
マイケル死亡を知ったのは、取材先のスコットランドの宿。場所柄、いろいろな国からのいろいろな人がいて、それぞれの国の言葉で大騒ぎしてた中、印象に残ったのが日本の男性二人の会話。
「マイケル・ジャクソン死んだんか?」「そのようですね」
姿を見ずとも、声だけで、出張か何かで来ている上司と部下だと見当がついた。
上司と部下でもファーストネームで呼び合い、フラットな英語で話すのが普通のイギリスで、社外、いや社内にいてさえ、社長がわかりやすく社長室に居てくれたりしない限り、第三者には上司と部下の区別はなかなかつかない。
こうして全くの部外者にさえ、瞬時に間柄がわかる日本語に感心。ついでに、こんな仰天ニュースの際にさえ、口の聞き方を間違えたりしない日本人のまじめさにも、ちょっと感動してしまった次第。
この先、マイケルが亡くなった時のことを思い出すたびに、死んだんか?そのようですね、もセットで浮かぶことになりそう。
『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』10月28日公開 |
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ロンドンで開催予定だったTHIS IS IT(これが最後という意味)コンサートのためのリハーサルの様子をまとめたもの。O2アリーナでの50回連続コンサートが発表された時点で、大丈夫か?ドタキャンになるんじゃないか?の声も多く聞かれ、興行主はキャンセル時に備え、多額の保険をかけたとの説も。こんな形でキャンセルになろうとは…
監督 ケニー・オルテガ
出演 マイケル・ジャクソン ほか
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2009.10.27 掲載
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