6月、エジンバラ国際映画祭で、英帰還兵を追ったドキュメンタリー映画『アイソレーション』を試写、ビッグイシュー日本版の仕事で監督と出演者をインタビューした。
アイソレーション=孤独とは、戦場から戻った元兵士達の状況を指してのタイトルだ。
傷ついた元兵士達を、センチメンタルに流れることなく、むしろ淡々とした調子で追っていくことで、心に迫る作品となっている。
エジンバラから戻った7月、アフガニスタン、イラクの両方で、英兵の戦死者が続けざまに出た。
8月になっても、その数は増え続け、9月となった今もユニオンジャックが添えられた葬儀が続いている。
18歳、結婚したばかりだった22歳など、戦死した兵士には、ほんとうに若い人が多い。
その昔、ベトナムで戦死した米兵の平均年齢が19歳と聞いた時にもショックを受け、前線には若い人が送り込まれるらしいことを知った。
それでも、ニュースで若い戦死者の年齢を知るたびに、やはりショックを受ける。
『アイソレーション』で案内役を務めたスチュアート・グリフィスも入隊時16歳だった。
なぜ、兵士になることを選んだのか?まわりに止める人はいなかったのか?
真っ先に思い浮かんだ質問への、グリフィスの答え「母親は、軍に入った方が安全と考えたかも…」と、それに続く話を聞いて、シンとした気持ちになった。
戦場より、ここにいることを選ぶには、少なくとも、ここが戦場よりはましと思える場所でなくてはならない。
そうではない"ここ"、安全とも、可能性があるとも感じられない"ここ"しか持たない若者もイギリスには少なからずいるのかもしれない。
日本ではどうなのだろう?
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インタビューはビックイシュー127号、9月15日発売でSuperflyが表紙、に掲載です。
ビッグイシューは、イギリスで創刊された、ホームレスを販売員とすることで支援する雑誌で、今では日本版含め世界の各地でそれぞれ独立して作られています。
見かけたことはあっても買ったことはないという方も多いかと思うのですが、この機会に是非。
心身に傷を負った英帰還兵の声を集めたドキュメンタリー。その傷からホームレス、アルコールやドラッグ依存になってしまう元兵士も少なくない。入隊し、軍のカメラマンとなったことで、現在はプロカメラマンとして活躍するスチュアート・グリフィスも、やはりホームレス経験をした1人。そのグリフィスが元兵士達を訪ねる。
監督 ルーク・シーモア、ジョセフ・ブル
出演 スチュアート・グリフィス ほか
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2009.9.15 掲載
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