ハリポタ、新シリーズが出来るごとに、親せきのおばちゃんと化してしまう私。
「はぁー、大きくなったねぇー」
もちろん、ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリントのトリオを見ての感想だけど、そういう人、多いんじゃなかろうか?
というわけで、毎回、そういう気分にさせるお若い方々より、あまり変わることなく登場してくださる中堅どころの方々に注目しつつ見てしまう。アラン・リックマンやヘレナ・ボナム=カーターといった濃い味のみなさまだが、今回は前々回から登場のレイフ・ファインズ演じるヴォルデモートが気になるところだ。
レイフ・ファインズ、『シンドラーのリスト』の時はあまり気に留めずに見てしまって、最初に注目したのが『イングリッシュ・ペイシェント』、次に見たのが『ことの終わり』だった。ご存知のように両方とも人妻とややこしいことになる役。その秘めた情熱とか、悩める感じが上手くって、人妻とどうこうなる役やらしたら一番と思って見てたのが、近年、考えを改めた。
『スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする』でトラウマ抱えて蜘蛛みたいになっちゃった男、『レッド・ドラゴン』でも悲しい生い立ちからモンスターみたいになってしまった男というのを、これまたバッチリ演じてくれて、色っぽいことじゃなくても、悩めるのが上手いんだと再認識。
心に開かずの間を持ってしまった人、それに自分が蝕まれていくというのがハマる役者だ。さすがに『レッド・ドラゴン』の連続殺人犯までいっちゃうと共感しにくいけど、前回ご紹介の『愛を読むひと』では共感の届く範囲のねじれ具合が良かった。ファインズの若い頃を演じた、まだまだ健やかで可愛らしいデヴィッド・クロスくんと、間にケイト・ウィンスレットを挟んで見比べてたのが、写真のベルリン映画祭記者会見時。役のイメージを裏切らない感じに複雑そうなお方に見えたけど、そのシリアスイメージを逆手にとって、最近はコメディでも活躍。
で、ヴォルデモート。前々回、前回とうっすらとしか出てないのが、今回はもっと少なくて、ほんの一瞬レイフの顔が見えるのみ。空にヴォルデモートの顔みたいな不気味な雲が現れるけど、雲になられてもねえ…と不満が残るが、そのかわりヴォルデモートの幼少期役として甥っ子のヒーロー・ファインズ=ティフィンが登場。レイフの弟も俳優のジョセフ・ファインズなのは有名だけど、ジョセフではなく、妹で映画監督のマーサの11歳になる息子。芸能一家というわけで、このヒーローくんもあどけなさの残る子供ながら、ヴォルデモートとして、ちゃんと暗さを漂わせてるとこが頼もしい。
将来楽しみだけど、次に見た時、最初に出るのはやっぱり「大きくなったねぇ」だろうな。
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』7月15日公開 |
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ハリーがいよいよヴォルデモートに挑もうかという前哨戦みたいな今回、カタルシスが少ないかわりに、次回に期待を持たせる作りになっている。恋心がコミカルに展開する部分と、ダーク・サイドが表面に現れてくる部分とで大人になったハリーたちを強調。年齢的にも、あと2作品で終わりというのは正解かも。
監督 デヴィッド・イェーツ
出演 ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリント ほか
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2009.7.17 掲載
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