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アフガニスタンの女性たち
『ハーフ・バリュー・ライフ』
『ア・デイ・イン・ザ・ライフ・オブ・ラヘラ』
『ア・ガール・フロム・カブール』

アフガニスタンの女性監督によるドキュメンタリー映画3本を見る機会に恵まれた。
  ここでは日本での公開時期に合わせて書かせていただいているが、この3本については日本での上映を願って、ご紹介したい。それぞれ30分弱という構えずに見られる長さの作品だ。

ロンドンで上映されたのは、3月5日から13日まで開催された第5回バーズ・アイ・ビュー映画祭。女性映画製作者を応援するための映画祭ということで女性映画監督の作品の上映が主だが、赤ちゃん連れ歓迎の上映会など女性観客も応援、また、女性の文化的、社会的な位置づけを考えるようなイベントも多かった。

3作品のイギリスプレミアとなる上映と討論会は「リスキー・ビジネス:アフガン・ウィミン・フィルムメーカーズ」と題して、3月12日に開催された。
  女性が世に向かって発言することが難しいという本国アフガニスタンでの上映予定はないという3作品だが、討論会に参加予定だった3監督ともロンドンまでの旅が不可能となったこと、映画祭側は3監督と連絡を取り続ける意向であることが事前に発表され、アフガニスタンの予断を許さない情勢をうかがわせた。

代わりに討論会に登場した、BBCのアフガニスタン女性向けラジオ番組「アフガン・ウーマンズ・アワー」のプレゼンターを務めたアフガニスタンの女性キャスター、ザーグナ・カーガー(写真)が、映画の内容を補足するような形でアフガニスタンの女性の状況を説明した。
  7、8歳で学校に通うことをやめ、働き手となる女の子が多く、法で定められた最少結婚年齢はあっても、それを破った場合の罰則がないため、父親や兄弟などによって家畜の売買のように嫁がされていく幼い少女も少なくないという。

同じく討論会に参加の、アフガニスタンの女性サッカーチームを撮った『アフガン・ガールズ・キャン・キック』のイランの女性監督バハレフ・ホセイニは、それでも声を上げ続けることが大事だと訴えた。

もう1人の討論会参加者、イギリスの女性監督ハバナ・マーキングは、アフガニスタンの素人出場歌番組についての映画『アフガン・スター』で、サンダンス映画祭の監督賞、観客賞を受賞している。
  欧米、日本などでは、お気楽な娯楽番組とみなされる素人歌番組だが、アフガニスタンの女性にとって、公衆の面前で歌うことは、まさに命がけで自分の才能をアピールする行為だという。

3本の映画と討論会で語られたことは、不勉強な私が知らなかったことばかり。他国の事情についても、もっと勉強しなくては、と反省。
  感動させたり、笑わせたり、泣かせたりするだけじゃなく、勉強しなきゃと思わせる!力もあるなんて、映画って、すごい、とつくづく思った映画祭となった。

今回見た3本のアフガニスタン映画 ■ ■ ■

アルカ・サダット監督『ハーフ・バリュー・ライフ』
  アフガニスタンでの夫の妻への家庭内暴力をテーマにした作品。生々しいやけどの跡だらけの手を見せながら泣きじゃくる9歳の妻が痛々しい。

ディル・アフラズ・ジーラク監督『ア・デイ・イン・ザ・ライフ・オブ・ラヘラ』
  こちらに登場する少女は、元気な印象で痛々しさこそないものの、家では小さい兄弟の面倒を見ながら家事もこなし、アフガニスタンの女の子としてはめずらしく通っている学校でも年少の子らの面倒を見る役目をにない、水を売り歩く商売もしていると、働きづめであることに変わりはない。

シャキバ・アディル監督『ア・ガール・フロム・カブール』
  カメラウーマンとして働く高学歴のアフガン女性のジレンマ、結婚すればその仕事を辞めなければならないが、独身で仕事を続ければ誹謗中傷の的となる、が語られる。

2009.3.20 掲載

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