(前回からつづく)
ただし、伝統的な「○○み」は純粋に名詞としての使用だが、女子中高生たちの新語の場合はどちらかというと感嘆詞の用法に近い。
- 「やさしみ~、彼って、こんなかわいいプレゼント、くれるんだヨ。」
という感じであるが、東京スカイツリーを見上げて、「高み~」とは言わないはずだ。「高み」がすでに書き言葉として認知されてしまっている言葉だからだ。
ちなみに形容詞は2種類に大別できることは以前からの通説である。
上は状態形容詞(属性形容詞ともいわれる)、下は情意形容詞(感情形容詞ともいわれる)に分類される。情意形容詞は物事の性質(状態や属性)を表すわけではなく、人の感情を表す。状態形容詞の場合は、定量表現(「高さ」など)から、観念的な表現へ昇華させるために、
というような表現が生まれてきた。
「高み」には物理的な「高さ」だけではない次元の高い「深み」がある。その「深み」もまた形容詞からの転成名詞だ。そしてさらに、
- 現在、坂本は17歳、樋口は16歳で同学年、さらに技を高め合う。
という表現も派生している。「たか」を下一段活用動詞語幹の一部とみなし、「高める」という転成動詞とする用法も古くからある。
しかし、「かわいい」などの情意的な形容詞には、この用法はまだなく、「かわいめる」という言葉は存在しない。。。。とはいうものの、言葉の創造力豊かな女子中高生たちが今後使い始めるやもしれぬ。
[参考文献]
■ロケットニュース24
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■高見澤孟・他2004『新・はじめての日本語教育』アスク出版
2018.2.15 掲載
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