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第32回 アウェイ(2)


(前回からつづく)
  英語と日本語における二重母音の解釈について、もう少し書く。

英語の二重母音、[ai]とか[ei]を歌謡曲の歌詞として歌う時、それまで母音+母音として歌われていたのが1978年の「東京ららばい」(中原理恵歌/*注1)では、「♪〜ららっばい」の部分で二重母音[ai]のように一気に発声されていた。

これが歌謡曲における二重母音的処理の萌芽だと思っていたが、それに先立つこと4年前に荒井由実は「ベルベット・イースター(*注2)」の中で「♪光るしずく、窓にいっぱい」の「ぱい」を二重母音的に処理している。

ららばい(lullaby)は元々の英語っぽく歌われたのだが、「いっぱい」の方は歌手が大和言葉を歌うときの処理が変わる兆しであった。その後、サザンオールスターズでの発音革命を経て、1990年代のMr.CHILDRENあたりからは日本語の「あい」、「えい」などを二重母音処理で歌うことが普通になってしまった。

さて、試合での「アウェイ」の対語は「ホーム」であり、「ホーム」つまり、「じぶんち」でなければ「ひとんち」ということになり、ことは単純なのだが、人間誰しも自分の城にいた方が気楽なようである。会議でもパーティでも、多数派になりたがる小早川的(*注3)な人が圧倒的だ。

会議では、いつも後出しじゃんけんを決め込む人が結構多い。
  また、人は立食パーティで、元々は「アウェイ」な場であるパーティに「ホーム」を築こうとしがちだ。今、使った「アウェイ」は「場違いな」ではなく、単純に「ホームではない」である。

立食パーティで仲の良い人たちだけで輪になって、固まって話を続ける光景はよく見かける。そんなに「いつもの人」と話したければ、「いつも人たち」だけで勝手に飲みに行ってほしいと思うのだが。。。。(つづく)

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(注1)「東京ららばい」松本隆作詞・筒美京平作編曲
(注2)「ベルベット・イースター」:荒井由実作詞作曲・荒井由実&キャラメルママ編曲
(注3) 関ヶ原の合戦の際、当初西軍についていた小早川秀秋は東軍が有利と見るや、突然東軍に寝返った。


2013.6.15 掲載



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