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第147回 「LGBT 日本にも同性婚を」
立憲民主党 参議院議員 石川大我氏

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参議院議員 石川大我氏

世界先進7ヶ国では同性婚やパートナーシップが認められているが、日本でも渋谷区、宝塚市、伊賀市など地方自治体レベルで「結婚に相当する関係」と認める「同性パートナーシップ条例」が成立し始めた。

石川大我氏は一年前、プレスクラブでLGBT政治家として初めての記者会見を開いた。その時は豊島区区議会議員であったが、今年の参議院選挙で「すべての愛し合うふたりが祝福される日本へ。日本にも同性婚を」とのスローガンを掲げて立憲民主党(比例区)から立候補し当選。9月27日、参議院議員として再び記者会見に現れた。

石川氏は1974年東京都生まれ。2011年初めてゲイを公表した議員の一人として豊島区区議会議員となり、LGBT差別解消のための運動を進めている。モットーは「LGBTは性的嗜好ではなく人権問題。人権問題は多数決では決められない」。

数年前の電通の調査では、日本人の13人に一人がLGBTとある。日本でこの少数派の問題がメディアで取り上げられるようになったのは、元宝塚男役の東小雪さんとLGBT法連合会事務局を担当する会社役員・増原裕子さんのディズニーランドでの挙式(2012年)や、二人が渋谷区での「パートナーシップ証明書」第一号受領ケースとなった(2015年)のが最初。*注

*注)その後2017年二人はパートナーシップを解消し、増原さんは新しく経済評論家の勝間和代さんとパートナーシップを組んでいる。

最近の話題では、トランス・ジェンダーの元フェンシング女子日本代表の杉山文野さん(東京レインボープライド共同代表理事)が、友人のゲイ男性から精子提供を受けて出産したパートナーと10ヶ月の娘を育てている件。杉山さんは、性同一性障害で女性から性別変更した男性が結婚し、その妻が第三者からの精子提供で生んだ子どもを嫡出子として認めるよう訴える裁判の支援もしている。

昨年、自民党衆議院議員の杉田水脈氏が文藝春秋に寄稿し、同性カップルは「子どもを作らない、つまり生産性がない」と非難し、石川氏が世話人を務める「LGBT自治体議員連盟」は厳しく抗議した。また自民党では、谷川とむ衆議院議員が同性愛について「趣味みたいなもの」と発言するなど、人権認識を欠いた発言が続いた。

ところが今年になって安倍首相は、9条改正のための憲法改正の「エサ」として、24条(婚姻は両性の合意のみに基づいて成立す)も改正しようとしている、このパッケージは避けなければならない、と石川氏は指摘する。

一年前のLGBT記者会見では、出席者はほとんど会見者に関係する少人数にとどまったが、今回は記者、大学関係者、大使館員などで会場は満席に近く、この問題が関心を広めていることが伺えた。


Q&Aより

オランダ大使館広報担当イズ・ファンデルイースト:東京オリンピックが終わればLGBT問題は忘れられるのではないか?
石川:むしろオリンピックを機会に啓発したい。Pride Houseを会場につくり、大企業の物資購入時にはLGBT差別を禁止する。

渡辺(筆者):ゴールドマン・サックスなど外資は同性婚を認めているが、日本入国にあたって配偶者ビザを認めないのは国際金融上不利ではないか?
石川:配偶者ビザではなく、同性パートナーには「特定活動ビザ」が出始めている。

LGBT問題や同性婚を「人権問題」と頭で理解する人々が確かに増加している。
そもそも「若い」世代にとってはテレビドラマや映画に誰かしらLGBTの人物が登場するのはお決まりだし、時にはネット空間上の自分のジェンダーを自由に定義して楽しんでいる。LGBTの友人がいることも珍しくない。そういう彼らにとってはLGBT、同性婚は恐怖を覚えたり、頭や感情を悩ませたりする存在、問題ではない。

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石川大我氏と選挙ビラのレインボウ団扇 
  “All human beings are born free and equal in dignity and rights.”

編集部注:LGBTはレズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(生まれた時の性と自認する性が一致しない人)の頭文字をとったもの。性的アイデンティティーの不明確なQ(クエスチョニング)は日本ではXジェンダーと称されることもある。

2019.10.31 掲載


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