つまり、「はかる」は物理的な計測から論理的な計画へと意味が広がってきたと言える。
さて、今回政治的に話題になる前から、「忖度」はネガティヴな文脈で使われることが多かった。本来は「他人の心を推測する」だけの意味なのだが、専(もっぱ)ら
- 「上役の心をさぐり、上役にとって適当な行動をとる。」
という意味に特定して使われる。
どうして、上役の本意を直接聞かないで、探るかというと、ひとつは上役と意見を同じにして出世したいからである。ふたつ目には、その探る方の人が出世できる可能性があるからだ。上役に阿(おもね)るだけでなく自分が一段上(あるいはトップ)の立場にあるとしたら、どう行動するかを考えるからである。それが適切な方向に行けばよいのだが、時として、よからぬ判断をしてしまうことがある。
従って一般職(主に女性)は出世などどうでもよいから上役の本意など意に介さず行動するのだ。
一般的な辞書の「はかる」よりは「さぐる」の方がわかりやすい。この場合の「適当」という言葉も本来の意味より、ネガティヴな意味で使われることが多い。
などである。
この場合、「テキトー」とカタカナで書いた方がニュアンスが出る。
「忖度」も漢字を知らなかった人が多いのだから、「ソンタク」の方がよいかもしれない。
いくら馴染みのない漢字だからと言って、これではとても「そんたく」とは読めないが。。。
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[参考文献]
■石川忠久2000『新漢文体系』明治書院
■和田利政・金田弘『国語要説 五訂版』大日本図書
2018.9.15 掲載
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