- インタビューは少し前に受けたものですが、ほぼほぼ私の心境が書かれています。(川澄奈穂美・2015年11月ブログ)
・・・という、副詞「ほぼほぼ」が増えてきた。
元々は「ほぼ」だけで十分なはずなのに、わざわざ畳語(じょうご/複合語の内、同一の単語を二回重ねている言葉)にしている。
独特の語義で注目される「新明解国語辞典」最新版(2016年・第七版)でも、まだ「ほぼ」のみが掲載され、「ほぼほぼ」への言及がないことでも近年急速に普及してきていることがわかる。
新しい表現は若い世代からその前の世代に浸透して行くのが常だが、自民党の谷垣禎一氏がなんと4年前に、
- 「近代国家としてどういう人権を保障しなければならないか。大枠ではほぼほぼ共通のものが私はあると思います。」(谷垣国務大臣(当時)、2013年衆院法務委員会にて)
と発言している記録がある。
録音された記録ではないので実際はわからないのだが、この場合谷垣氏は「ほぼほぼ」の直後に一瞬間をおいていた可能性が高い。
平日午後の人気TV番組「ライブワイドショー・ミヤネ屋」のMC、宮根誠司もこの言葉を多用する人だが、彼の場合、「ほぼほぼ」の直後に一瞬の空白をおく。この間(ま)を利用して、聞いている人たちの「うんうん。。。」という同意を促す効果がある。
宮根氏の場合は自信を持って発言する際にこの「ほぼほぼ」を使っているが、人が自信のないことを発言する際に、この表現は便利である。つまり断言すると角がたつと思った時に使う「~的な」とか「~みたいな」という言葉と同じ使用方法もあると言える。(つづく)
[参考文献]
2016年6月30日付朝日新聞所収『よく聞く言葉 ・ほぼほぼ広まった?』
2017.3.15 掲載
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