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第73回 「かんきょう、えんきん、ふっこう」(1)


数年前からだろうか、意外なひらがな表記を目にすることが増えてきた。

  • 【かんきょう】
    四日市市ホームページ「かんきょう四日市」
    名古屋市ホームページ「かんきょう実験スクール」
  • 【えんきん】
    (株)ファンケル・ホームページ「えんきん」

それ以前はそれぞれ、「環境」、「遠近」と表記するのが普通だった。どうして漢字表記かというと、ふたつの理由がある。

  1. 元々が漢語(中国から入ってきた言葉)か、和製漢語(日本で作られた漢語風の言葉)だから。
  2. ひらがなで書くと文章の中で埋没するから。

しかし、筆者が目にしたこれらの言葉は文章の中ではなく、キャッチコピーやタイトルなどで使われている場合なので、2.の理由には当たらない。漢語なのに、ひらがなにするのは、主にひらがなの優雅さ、やわらかさを利用したかったからである。

ただし、ひらがなにすると、漢字から受けるイメージで一瞬にして意味がわかるという利点がなくなってしまう。特に「えんきん」の場合、筆者には「きん」が「菌」に見えてしまい、「抗菌」と勘違いしてしまった。眼科の医療に関係する広告だからである。

他にも、ひらがなにする要因として、

  • 在日外国人にもわかりやすいようにするため
  • 子供でもわかりやすいようにするため

というのもある。

阪神・淡路大震災(1995年)以後、特に増えたのが前者の理由によるひらがな表記やルビ(ふりがな)表記である。「ひなん」「避難(ひなん)」、「じしん」「地震(じしん)」などの表現が公共施設等で増えてきた。(つづく)

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一昔前なら、当然「遠近」と表記されていたはずだが。。。

[参考文献]
四日市市ホームページ「かんきょう四日市」
名古屋市ホームページ「かんきょう実験スクール」
(株)ファンケル・ホームページ「えんきん」
弘前大学人文社会学部ホームページ

2016.11.15 掲載



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