テレビ番組の一コーナーで、有名人の子供が出てきて、その親が誰なのかを当ててみせる企画がある。回答を考えるのは坂上忍だ。
- 坂上:「お父さんは芸人?」
- 有名人の娘:「はい、そうです。」
・・・・その後、いくつかのやりとりを経て、正解はものまねを演じるコロッケだと知る。
- 坂上:「なぁ~んだ。芸人じゃぁないじゃん。」
- 有名人(コロッケの娘:「え? でも、お父さん*1、ものまね芸人ですよ~。」
ここに、会話している二人の間に言葉の意味範囲における齟齬が見られる。
ものまねタレントのコロッケは、今時の芸能界に身を置く坂上にとっては、「芸人」ではないのである。坂上は「芸人」=「お笑い芸人」という認識なのだが、コロッケが演ずる「ものまね」もお笑いの範疇のはずであることが、コトをますます複雑にしている。
最近では、「芸人」とは、もっぱら一発芸や一発言葉で人を笑わせるためにテレビに出てくる、あるいはテレビに出ることを目標にしているタレントのことを指すようである。
コロッケの娘は坂上より一回り若い世代に属するのだが、むしろ古くからの「芸人」という言葉の感覚を持ち合わせている。これはコロッケが自分の娘に「おれは(ものまね)芸人だ。」と常日頃口にしていたからに違いない。本来、「芸人」とは「芸」ができる人全体を指す言葉であるのだが。。。。(つづく)
注:*1「お父さん」・・・自分の父親の意。どうも最近は「他人に話すときは身内を父、母と呼びましょう。」という教育がされていないようである。
2016.9.15 掲載
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