「とても五十代には見えないプロポーション、読者モデルの魔女とも言える○○さんには誰もがあこがれる。」などと使う。
もちろん、本来の魔女の意味の拡張だが、特殊能力などがあるわけでもない。単に「普通よりも美しい人」程度の意味であり、「美」と組み合わせた「美魔女」も多く見かける。
目魔女コンテスト(*1)というイベントも行われている。イベント名を見ると、なにやらマスカラ、アイシャドウ塗りまくりの目のオンパレードのような感じもするが、つけまつげはあるものの、けっこう普通の「目」が入賞している。つまり、「美しい目コンテスト」と同義で扱われている。
テレビや映画のタイトルにも周期的に「魔女」が現れる。最近の例では「ほっとけない魔女たち」(2014年、東海テレビ制作、フジテレビ系)がある。前述の「魔女」と違って、こちらは報復などのためにチーム企画力を発揮する「魔女たち」である。中世の魔女伝説と違って、多少の悪知恵が働く程度の特殊能力である。
1989年には、アニメ映画「魔女の宅急便」(角野栄子原作、徳間書店*2)が大ヒットした。主人公の魔女はホウキに乗って空を飛ぶという昔からの魔女伝説を踏襲しながらも、可愛らしい15歳の少女だ。飛行という超能力を使って宅配便(*3)を開業するものの、困っている人のためのボランティア的な仕事であることが多くの人に愛される。
1970年代には、「魔女っ子メグちゃん」(1974年〜1975年、NET日本教育テレビ*4)などの難題解決キャラが人気を呼んだ。どれも一見可愛らしい女の子が超能力を発揮するのだが、魔女の宅急便以上の魔法を駆使する。これは日本ならではの傾向らしい。この系譜がキャラクターのコスチュームと連動して、現在のクールジャパン・ブームに繋がっていると見る。
しかし、元々は東京オリンピック(1964年)でメディアが名づけた「東洋の魔女」(女子バレーボールチーム)がきっかけとなり、「魔女」という言葉がしばしば巷間に上(のぼ)るようになったのだ。
このように時代を遡ってみると、日本で使われる「魔女」はだんだん「普通よりも綺麗」程度の人になってきたのだと言えるが、そもそも「魔女」とは何なのか?
(つづく)
(*1)目魔女コンテストHP
(*2)原作の小説は1982年発表
(*3)「宅急便」はヤマト運輸の登録商標であり、一般的な総称は「宅配便」である。
(*4)現在のテレビ朝日
2015.3.15 掲載
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