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第42回 まぎゃく(真逆)


「Aさんって、Bさんとは、まぎゃくの性格よね!」とか、「銀行は郵便局とまぎゃくの方向です。」などと言う。本来、「ま」の「ぎゃく」などと言わなくても、「ぎゃく」は正反対を意味するのだが、強調したつもりの「まぎゃく」が単に「ぎゃく」という意味になっている。

「まぎゃく」が普通の言葉になったのは21世紀に入ってからだ。2004年に流行語大賞の候補になっている。どうして、「ぎゃく」にわざわざ「本当の。。。」という意味の「ま」をつけるようになったのだろうか? それは「ぎゃくに。。。」という言葉を多用する人が増えたからに違いない。「ぎゃくに」は本来形容動詞の連用形が副詞的に使われた例である。

「ねえ、今年の忘年会、中華でどう?」
  「でも、去年も中華だったよ。」
  「あ、そうだね、じゃあ、ぎゃくにイタリアンにしよっか!」

。。。これは別に「ぎゃく」ではないのではないか? まあ、和食と洋食だったら、ぎゃくと言えばぎゃくかも知れないが。。。このように、「ぎゃくに。。。」を多用する人が目立つようになったのが、「まぎゃく」氾濫の要因のひとつと考えられる。「ぎゃくぎゃくっつっても、別にぎゃくじゃないじゃん!」と思う人が多くなってきたからだ。

元々「まぎゃく」は多くの新語、流行語と同じように芸能界用語だったらしい。撮影対象物に照明を当てる際、「まぎゃくから行ってみようか。」などという表現だ。150度位の角度ではなく、完全に、180度ぎゃくからという意味らしい。これが数値概念の無い世界にまで適用されるようになったのだ。(つづく)

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[参考文献]
葉桜日記2005 http://tompei.way-nifty.com/diary/2005/09/post_ed5a.html
杉本つとむ2006「気になる日本語の気になる語源」東京書籍
町田健2009「変わる日本語」青灯社
国立国語研究所データベース「少納言」http://www.ninjal.ac.jp/database/


2014.4.15 掲載



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