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第27回 マジですか?(1)


今日、若者の仲間内の会話において、相づちが「マジ? マジかよ」ばかりのことが多い。職場の先輩や気心が知れている上役が「おれ、今度異動することになったんだよ」と突如言った時は少し丁寧にして、「え? マジですか?」などという言葉が口から出てしまう人も多いだろう。スピードを上げて発音すると、もう少しくだけた「マジすか?」にどんどん近づく。

「マジすか」を鏡の前で言ってみると、「ジ」→「す」と発音するときに唇を動かす必要がないことがわかる。両方とも歯茎(歯ぐき)を使う音(注*)なので、発音が楽なのだ。

私の学生時代、つまり1970年代でも、「マジ」という言葉は仲間言葉としては発生していた。しかし、職場で使われるようになったのは'90年代新卒者入社以後と思う。私の感覚では「マジかよ」とか、「マジ?」という仲間言葉としてならともかく、「マジ」に「ですか」という丁寧語を連結する感覚に当初は違和感を覚えたものだった。

しかし、そんなことにはおかまいなく「マジですか?」は市民権を得た。
  本来は「(あなたはほんとうに)マジ(めに言っていま)すか?」の省略だったはずだが、「(あなたの言っていることをほんとうに)マジ(めにとらえてよい)ですか?」に転じた結果だと思う。

つまり、自分の行為の許諾を請う表現(英語のMay I 〜)になり、ビジネス用語として若者間では認知されてしまったのである。21世紀に入ってからは同僚間だけでなく、先輩に対しても、それも会議の席で「マジですか」と言う人が増え、マジですか人種の最先端はもはや四十代に突入してしまった。

それでは、そもそも「マジ」はいつごろ、どんな人たちが使い始めたのであろう? (つづく)

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2013.1.15 掲載



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