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第17回 モード(1)


日曜日の夜、「さて、そろそろ仕事モードに戻らねば。。。」とか、「連休直後、お休みモードから抜け切れない」という表現が21世紀初頭あたりから現れた。この「モード」を日本語に訳そうとすると何であろう。。。。「雰囲気」? 「世界」? 「次元」? 「機能」? なかなか、ぴったりした日本語が浮かばない。こういった新語は訳すことが出来ないから世に広まるのだろう。

筆者が最初にモードという言葉を聞いたのは小学生の頃、***モードというファッション用語だ。NHKの朝ドラ「カーネーション」でも1950年代後半の描写では「モード」という言葉が飛び交った。15分の放送時間の中で4回も出てきたことがあるが、最近の女性ファッション誌ではあまり使われなくなった。次に覚えたのは中学生か高校生の頃の統計用語。いちばん量が多い区分のことで、日本語では最頻値と呼ぶ。よく引き合いに出されるのが国民の平均預金額が***万円という統計だ。富裕層が平均値を引き上げているから、最も普通とされる国民の預金額=つまり最頻値はもっと低くなるという説明をよくみかける。

大学生になって音楽理論を学んでいる時に、またモードという言葉が出てきた。専門的な説明は避けるが、主にポピュラー音楽界で使われる用語だ。「マイルス・デイヴィス(*)は“KIND OF BLUE”でモード・ジャズという新境地を開いた。」などと使われる。このアルバムはモード・ジャズということで有名であるが、評論する人が、ましてや一般リスナーが本当にその内容を理解しているかというと疑わしい。

専門的な説明を避けると言いながらも内容に言及するのは恐縮ではあるが、モードというのは早い話が音階の一種。このモード奏法、新鮮味はあるのだが、ずうっと同じモードで演奏し続けると、プレイする方も聴く方も飽きてくる。したがって、途中から違うモードにしたり、中心となる音(主音と言う)を変更したりすることが多い。
  ああ、なるほど、人間はずうっと仕事モードだと体が持たないし、かと言って毎日お休みモードでもだめなのね。(つづく)

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2012.3.15 掲載



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