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第6回 「美人すぎる」


統一地方選挙の投開票が終了した。今回は大震災後ということもあって、各陣営が防災対策に重点をおき、政策主張が似ていることが多かったようだ。

マスコミは選挙のたびに新しい表現を作り出すものだが、2007年4月に青森県で出馬し、当選した藤川優里議員を某マスコミが「美人すぎる議員」と形容した。これがきっかけに、「***すぎる」という表現が多く使われるようになったようだ。スポーツ、政界、財界などでの美人の表現として、かなり乱用されている。

もともと、魅力的な女性を形容する言葉の中で「美人」は流行(はや)りすたりがなく、古くは江戸時代の浮世絵「見返り美人」から昭和の「美人喫茶」、「美人女子アナ(ウンサー)」まで、重用されている。

「美人」をさらに強調したかのような、この「美人すぎる」という表現はいわゆる芸能界の美人女優以外の分野を対象に使われていることからも明らかなように、「(***界にしては)美人すぎる」というニュアンスが含まれている。

「さらに美人」ということを言っているわけではなく、「美人」の概念を拡張したグラビアを編集して、読者を増加させようとするマスコミの策略である。
  つまり、決して「この世では考えられないほど美人すぎる」という意味ではない。

「すぎる」(過ぎる、動詞上一)はもともと便利な言葉で、名詞、動詞、形容詞、形容動詞などの後に連結されて「超過」「経過」「優位性」を表す。

今回の「美人すぎる」は「名詞+すぎる」、あるいは「派生された形容動詞+すぎる」と考えられるが、その意味は単純に「優位性」というわけではないであろう。
  スポーツ界にしては・・・、政界にしては・・・、財界にしては・・・、である。
  「(世の中の人が)美人(と言い)過ぎる」の省略形のような気もしてくる。

まあ、普通の人に比べたらそこそこの「美人」であっても、男性にとっては目の保養になってよいのだが。。。。
  この称号を与えられた女性有名人は「美人」自体を商売にするのではなく、本業での評価も高めてほしいものである。

ゆめゆめ、「過ぎたるは及ばざるが如し」にならないよう案じる。

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2011.4.15 掲載



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