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イギリス初の同性婚に行ってきたよ

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ピーター・マグラー&デヴィッド・カブレザ

イギリスのウェールズとイングランドで、同性婚が合法となった。
  「あれっ?イギリスって、同性婚なかったっけ?」と思われた方もいらっしゃるだろう。同性カップルを社会的に認めるシビル・パートナー・シップは、2005年に施行されている。シビル・パートナー・シップで結ばれたスターが、日本では「○○が同性婚」と書かれたりで、ごっちゃにされていたようだ。が、イギリスでは、異性が結婚、同性がシビル・パートナー・シップということ自体が差別であるとも言われていた。

2つの制度の違いをザクッというと、シビル・パートナー・シップの方がカジュアル。
  例えば、シビル・パートナー・シップの手続きは書類にサインするだけ、一方、結婚は定められた言葉を口答する儀式によるもの。「汝はこの者を妻(夫)とするか?」に「アイ・ドゥー」と答える、あれですね。ということは、日本の結婚の手続きは、むしろシビル・パートナー・シップに近かったのか。
  シビル・パートナー・シップをとりたい異性カップルもいて、同姓が結婚を選べないこと同様、異性がシビル・パートナー・シップを選べないことに対しても、異議が唱えられていた。

施行日3月29日には、一番に結婚しようという0時挙式の同性カップルが多数。その中の1組、ロンドン、イズリントンで挙式のピーター・マグラー&デヴィッド・カブレザが、結婚前と結婚後に会場前で会見した。
  なかなかイケメンなお2人、でも特に有名人ではなく一般人で、マグラーはライター/デザイナー、カブレザはヒルトン・ホテルの国際部門ディレクター。カップルになって17年目にして晴れて結ばれた。
  会場となったのは、イズリントン・タウン・ホール。教義上、同性愛を認めていないキリスト教団体などは反対の立場をとっており、教会挙式はまだ難しいようだ。
  それでも、反対派が押しかけるようなこともなかった。会場前には、関係者か、通りがかり、あるいはご近所さんか、パッと見ではわからない人たちが集い、2人に声援を送る祝賀ムード。

LGBT(Lesbian, Gay, Bisexual & Transgender)に対する人々の意識は、ここ数年で大きく変化している。アメリカでPRRI(Public Religion Research Institute) が行っている調査によると、1996年には27%と三分の一にも満たなかった同性婚賛成率が、2004年には42%と半数に近づき、2011年には53%と過半数を占めた。異性愛者のみだった結婚が、同性愛者にも認められるようになってきた土壌を示す調査結果だ。
  白人以外お断りや日本人以外お断りが差別であるのと同様、異性愛者以外お断りも差別であることに、人々は気づき始めたようだ。

だが、それが世の中の潮流と思うのは気が早い。人権活動家でもあるマグラーは、喜び、感謝の言葉とともに「世界の多くのLGBTの人々に、まだまだ遠い道のりがあることを、忘れることはできない」とも。例えば、ウガンダでは、この2月、同性愛者に終身刑を科す法案が成立したばかりでもある。

2014.5.26 掲載

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