ロゼッタストーン コミュニケーションをテーマにした総合出版社 サイトマップ ロゼッタストーンとは
ロゼッタストーンWEB連載
出版物の案内
会社案内

Vol.27 - ばっくれライフ


img ご無沙汰しておりますが皆様お変わりありませんでしょうか?"全ての孤独な友たちへ"極めて遅筆ではありますが、実はこれからが本番だったりします(長!!)どうか長い目でよろしく!! 近況なんですが、僕のフリースタイルライフというレーベルから、"青春ハートブレイカーズ"という本をあくまで勝手に出版してみました。(※このあくまで勝手にというところがミソ。)けっこう評判が良くって、買ってくれた人からは"勇気をもらった"と嬉しいメッセージをもらったりもしています。興味のある方は是非こちらまで。お気軽に〜
http://www.freestyle-life.net/seishun-heart-breakers-page.htm

では、本題。

* * *

新宿は歌舞伎町でのアダルトビデオ制作という仕事は、僕に相当な衝撃をあたえたみたいで、その後しばらくは今でいうPTSDだか何だかそんなお洒落な感じ!?なものにやられてしまった記憶がある。
はっきり言えばもう家から出たくなかった。
世の中がもう丸ごと大嫌いで、世の中に出たら出たで心がズタズタになりそうなものしか目に入ってこないし、もうほんと疲れきってた。
だから、ただ、ただ、鍵をかけたアパートの一室にずっと閉じこもっていた。
しかし世の中はよくしたもので、そんな僕に神様は言う。酒の飲みすぎで呆けた僕の頭に素敵な声で言う。

"じゃあ、野たれ死ね。それくらいの自由はお前に与えてある。"

その囁きに、クソっ!ふざけんじゃねえ、ぶっ殺してやる!とのたうちまわりながら部屋を這い出し、再びまぶしい太陽にガンをつけ、まだ、可能性はあるはずだ、まだ光は残っているはずだと自嘲ぎみに口にする。あてなんか何もなかったんだけど。

とりあえずは何をしたのかな。完全に金がなかったので、本とかそういうものを売って小銭をつくった気がする。※本当に小銭。何万円もかけて買った本たちが、何千円くらいにしかならなかった。これは正直本当にショックだった。
そしてそのお金で何したのかな。そうだ安い日本酒を一升瓶で買ったんだ(笑)お得!っていう感じで。そして残ったお金でまたフロムAを買ったのかな。でも、何度やってももう同じ、出てる求人なんてみんな一緒だしさ。興味の向く仕事なんかありゃあしない。これは今も同じなんじゃないかな。残念なことだけど、求人をするってことは、働く人が根付かないってことでしょ。条件が悪いとか、なにか明確な理由があって。。。そういう企業ばっかりが求人広告を出しているんだからこれはもうどうしようもないよね。うん、残念だけど。

だけど、そうは言ってもお金を手にいれないわけにもいかない。だから色んなことした。丸井とかのカードからのキャッシングは限度額ギリギリは当然だったし、学生の頃つくったクレジットカードも見事に焦げ付かせてブラックリストに載ったりした。自動販売機のお金いれるところにママレモンをいれるとつり銭が出てくるっていう噂を信じて、夜中実行しにいったりね。(※結果はなーんも出やしなかった。)他にも酒屋からビン盗もうとしたりさ。夜中に捨ててあるエロ本をいっぱい集めてそれを古本屋に売りに行くとかさ。とにかく恥ずかしながらせこいチンピラみたいなことは一通りしてみた気がする。

そしてもう完全に食い詰めちゃってこんなことすら実行しようとした。それは新宿は2丁目のゲイタウンエリアに行って、金持ってそうな、おっさんにナンパされてホテルに行って財布だけかっぱらって逃げてこようとか。これは実際に心臓バクバク言わせながら2丁目行ってみてフラついて物色してみたんだよね。結局怖くなっちゃって実行することなく終わったんだけど、僕と同じような眼をした若いやつがけっこういたのを覚えてる。なかには見事実行したものもいたことと思う。でも逃げれなかったやつも多いんじゃないかな。そんな噂をちらちらと聞いたり聞かなかったり(笑)まあ、とにかくやめたほうがいいよってことだね。

そんな感じでこの頃、大学を出て数ヶ月の無職時代は、基本的に何もかも、ばっくれるという生き方で日々を過ごしていたのを覚えている。仕事はばっくれる。借金してもばっくれる。恋愛からもばっくれる。医者とか言っても、とにかく後で金を払うからとかいって、ばっくれる。何もかもばっくれる。人生からもばっくれる。そういう残念な生き方の時期が確かにあった。そしてその残念な生き方はどんどんどんどん僕のクビを締めてゆき、ついに、神様がけっこうキツイカードを僕に切ったんだよね。これはきつかった。

それは家族の死というやっかいなカード。

僕は父親を知らずに生きてきたんだけど、そんな僕を心配してか、それとも成り行き上しかたがなかったのか、ときどき金銭的に援助してくれる一応父親みたいな男の人がいたんだよね。※この人がいなかったら僕は大学にはおそらく行けなかった!!恩人だ!!
でも僕はその人のことが本当に嫌いでね。その人とまあ、一線を越えて仲良くする母親も殺したいくらい嫌いでね。まあ、嫉妬だろうね。母親を取られたっていう。だから、どんなに貧乏してもその人の息がかかった家に戻りたくなくていつもあがいてた。
そんなだから当然ながら仲はついに最後まで良くならなかったんだけど、そんな義理の父親みたいな人が突然、死んだんだよね。ほんと突然。
しかも死んだあとで母親が泣きながらそのことを電話でつげてきてさ。
戸籍上はその人と僕ら家族はなんの関係もないからさ、葬式にも行けずにさ。墓のある場所もよくわからない。僕はただ事後報告を受けただけ。
このときは本当に冷や水をぶっかけられたような気がして、そして、一体、自分は何をやっているんだって心の底から情けなくなっちゃってね…
そしてこう思ったんだよね、ああ、こりゃいよいよ現実ってやつが牙をむいてきやがったなあと。いよいよ甘ったれた人生におさらばする時が来たんだなあと。

そしてこれから始まるであろう、もう完全にどこにも逃げ場がないだろう崖っぷちの自分の人生のスタートに足の震えが止まらなかったのを今でも鮮明に覚えているんだよね。これからどんな未来になるのだろう?そう思うと本当に体が震えたんだよね。うん。怖くて怖くてしかたがなかった。

image そしてその震えをおさえようとまた飲むわけだ。何って?もちろん一升瓶の日本酒を(笑)ほんとダメだったなあ。そして今もまだ、けっこうダメなんだけどね。はは。

でも太宰治も確か言ってたよ。酒が人を救う夜もあるって。うん、そういう時もあるなあと僕も思う。




つづく

2008.5.19 掲載

著者プロフィールバックナンバー
上に戻る▲
Copyright(c) ROSETTASTONE.All Rights Reserved.