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Vol.19 - 孤独な大学生 


気づいてみれば3月。
これを読んでくれている希少な方たちご無沙汰しております。
なんやかんやと貧乏暇なしでいつのまにか時間が過ぎてしまいました。
はは。すみません。
でもまたポツポツと学生時代のことでも書かせて頂きます。
お恥ずかしい話をさらけ出させて頂きます。
なにとぞよろしくです。


***


1990年の19歳の頃。
僕は大学生になった。
あの友達いっぱい、楽しいこといっぱい、お休みもいっぱい、まさにこの世のパラダイスか!とまで想像した大学生となった。

image 入学当初。
そりゃあ、喜んだ。
ここが僕の新天地。
ここが僕のもう一度生きられる場所。
綺麗なコンクリート!
学食!
でかい講義室!
楽しそうなサークル!
若い男女の笑い声いっぱいのキャンパス!
健全な恋愛!
出会いそして別れ!

友達もおらず、高校を出ても何者にもなれず、自己否定の嵐な中からやっと見つけた希望の光。
それが僕の中での大学。
その大学生活がついにはじまる。
喜ばないはずがなかった。
僕は毎日本当に楽しくて、異常なテンションでキャンパスへと向かう。
そしてその異常なテンションで他の学生と交流する。
その異常なテンションが珍しがられ最初の頃、僕はみんなに面白がられた。
でも、まあ、あくまで最初だけ。。。

今、思うとほんと浮いた学生だったなと思う。
暗黒から一気に光の世界に来てしまったみたいなもんで、それこそ光のまぶしさで本当に頭がおかしくなったみたいだった。 もうね。
浮いているというか、完全にバカ。
友達がいなかった反動からか、とにかく友達をつくるべく、ありとあらゆる人に話しかけたり、必死に明るい自分を演じたりしていた。
中学、高校の時のような思いをしたくない一心だったのかも知れない。
そんな僕のことを周りの学生は最初は珍獣でも見るように受け入れ、そしてつきあってくれた。
(※あの頃、遊んでくれたみんな。ありがとう。感謝してます。)

でもそれも最初だけ。
まわりのことを考えずただ自分の勢いと自分の考えだけで行動する僕は次第に疎まれるようになっていった。
そして次第に僕に近づく人はいなくなっていった。
いや、でも今考えるとそれは実は逆だったのかもしれない。
離れていったのは僕のほうで、逆に皆は置いていかれたと思ったのかも知れない。

思い出してみると確か、こんなことがあった。
仲良くなった気がした友人が大学に一人いた。
彼は僕みたいなタイプの人間が珍しかったみたいで、うまくつきあってくれた。
でもそこからがまずかった。
友達づきあいのなんたるかをよく知らない僕は彼に最大限甘えた。
友達のいなかった僕は、友達というものは、自分のわがままを聞きいれるものだと勝手に決め付けていた。
でも実際は違った。
完全に違った。

ある深夜、酒に酔い、帰る場所をなくした僕は何の連絡もせずに彼の家を訪ねた。
泊めてくれって泥酔しながら、騒ぎながら、いきなり訪ねた。
彼は無言で僕を部屋の中へ入れた。
でも、どうやら彼は怒っているらしかった。
そして僕へ説教を始めた。
“お前、今何時だと思っている。”
僕のわがままについに耐え切れなくなったようだった。
そこからは凄かった。

“変なやつだから優しくしやれば、つけあがりやがって。”
“お前、どんな育ち方したんだ。親の顔を見てみたいぜ。”
“お前、まわりからどんな目で見られているか知ってんのか。”

などなど、堰を切ったように僕は攻撃された。
その攻撃に耐えられなくなって、恥ずかしいんだけど僕は泣きながら外に飛び出た。
そして確か朝まで町をふらついていたと思う。

まあ、いいんだけど、
そんなこんなで僕はびっくりするくらい早いスピードで孤独な大学生となった。
びっくりするくらい夢見ていた華やかな大学生活みたいなものとおさらばした。
学校に行ってもどこにも居場所のない、つまらない大学生となった。

ああ。
どこまで愚かなのか。



MIZK2006-3-10
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