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Vol.15 - 親の思い 〜 僕はニート5 〜


マンションの偽造設計問題、本当に大変なことになっているね。
被害にあわれた方々にはお気の毒で何も言うことが出来ない。
それにしても最低だ。
全て最低すぎて笑っちゃうほど。
詐欺師。プライドのない職人。無能な役人。グルになっていた政治家。
僕はあえて子供の視点で彼らのことを見る。
そしてただこう思う。
大人ってかっこ悪い。
せめて僕はそう思われない大人を目指そう。
そう思った。

フリースタイルライフというWEBマガジンをはじめました。
かっこいい大人揃ってます。是非見てください!
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***


働きもせずただ家にいるばかりの僕を、
友達と遊びに行くわけでもなく家にい続ける僕を、
何かを目指すわけでもなくただ夜毎呻くような僕を、

僕のただ一人の肉親、母親はただ静かに見守っていたのを覚えている。

そうは言っても内心は本当に不安だっただろう。
そして悲しかっただろう。
今僕は父親というものになってみて心の底からそう思う。
親は自分の子供に笑って生きて欲しい。
ただそれだけを願う存在だと思う。
その自分の子供が笑うことを忘れ生きてゆく術を見出せないでいる。
なんて辛いことなのだろうと思う。

でも仕方がなかった。
その頃の18歳の僕にはどうしても、どうやっても未来に対する活路が見出せなかった。
あがいた。
きっと未来に繋がると思って応募したアルバイトにも、あっけなく不採用になったりした。
今は僕も随分タフになっていて人生は自分の思うとおりになんかならないと心底知っているから平気だけど、その頃の僕には相当こたえた。
アルバイトの面接を受け、では結果は後日電話しますと言われる。
その電話を待つ間の辛い時間。
電話のベルが鳴るたびに一喜一憂する毎日。
そして結末は不採用。
えんえんとかかってこない採用通知の電話でそう判断する。
その悲しさ。今でも覚えている。
社会にいれてもらえない悲しみ。
途方も無い悲しみ。

アルバイトの応募に関してはこんなことも経験した。
僕は必死に自分の活路を見出そうと、きっと自分に合うだろうバイト先を探し続けた。
そこで一軒の喫茶店といおうか、カフェといおうか、そんな洒落た感じの店の求人に目をつけた。
もしかしたら、ここなら自分でも予想しないような未来が待っているかも知れない。
僕は少し気おくれしながらもその店の門を叩いた。
今の自分に出来る最高レベルのお洒落なかっこをして。
だけど結果は散々だった。
まずそこのバイトたちが僕のことを一瞥する。
人間なんて目を見ればわかる。
そいつらの目は"何だこのダサいヤツは"と物語っていた。
そしてアルバイトの面接に来た旨を伝えると、そのおそらく上手く世渡りをしているだろう従業員が少しおどけながら店長に伝える。
"店長〜バイト君だってさ〜"みたいな感じで。
それに会わせてウェイトレスのこれまたバイトの女が、"もう〜○○!、そんな言い方したらこの子がかわいそうでしょ〜"などと言い笑う。
そんなに年も違わない同じバイトのやつらに"この子"などとちゃかされる。
ああ、ダメだ。
書いていて怒りがぶり返してきた…。

まあ、とにかく僕の18才の春はそんな感じだった。
そんな僕のことを母親はただ見守った。
おそらく、きっと自分の子は自分の力で生きていけると信じて。

アルバイトの採用、不採用で苦しんだことは今となってはどうでもいいけど、誰かが(僕の場合は母親)僕のことを信じてくれていたということがとても大切なことだったのだと今さらながら思う。

本当にそう思う。



MIZK2005-11-19
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